新東宝 『悪魔の囁き』

 

6月21日は神保町シアター。14時15分からの『悪魔の囁き』 鑑賞

 誘拐事件が起こる。犯人はイヤホン付きの短波ラジオ(この時代なのでデカイ!) を送りつけ身代金受け渡しの指示を出す。これなら周囲を警戒する警察を気にせずに指示をする事が出来る…のだが、警官隊を指揮する細川俊夫を筆頭に大勢の刑事たちがゾロゾロ。関係の無い野次馬まで付いてくるのだから、受け渡しなど出来るわけも無い。人質は殺されていたりする。でもこれどう観ても最初から殺されているんだよねぇ。

 短波ラジオで指示をするので、捜査陣を率いる細川俊夫は犯人を「囁く男」 と命名。新聞で取り上げられて話題になる。ラジオのアナウンサーが「皆さんの周囲に短波受信機を肩から下げた人はいますか。その人は囁く男に脅迫されている被害者なのです。」 と言っているのには爆笑。

 主役は細川俊夫ではなく、博物館職員の中山昭二@キリヤマ隊長。中山には幼稚園に勤める筑紫あけみという婚約者がいる。ある日、短波ラジオが送りつけられる。筑紫あけみを誘拐した。博物館に寄贈された金無垢の勢至菩薩像を持ち出せという指示。指示通りに持ち出して、走る東横線の陸橋から『天国と地獄』 的な受け渡し。筑紫は帰ってくるのだが、微妙なすれ違いで中山は逢えない。『囁く男』 は更に中山を脅迫して仲間に引き入れる。この『囁く男』 には仲間がいて、何かの組織になっているようだ。

結局、『囁く男』 の正体は筑紫あけみが勤める幼稚園の園長の上原謙。最後は中山VS上原という珍しいカードでの殴りあい。最後は上原は車で逃走するが、運転ミスで事故死してエンド。 

                    

 

展開がもうグダグダ。『天国と地獄』 のような緊張感ある誘拐事件でもなく、短波ラジオを駆使した新しい犯罪を描いたものでもない。終いには妙な組織が出てきたりで、主題がコロコロ変わる。何がやりたいの? 脚本にも演出にも目まぐるしい展開を描ききる力がないせいか、こうやってストーリーを書くのも面倒だ。創世記のテレビドラマみたいなチャチい作品(失礼) 。