嵐の中を突っ走れ

 

 

今夜のNECOは『嵐の中を突っ走れ』 裕次郎が体制に帰属した型どおりのスーパーマン的ヒーロ−を演じている。蔵原惟繕監督作品なのだが、面白くもなんともない。女子学生の中に今やお婆さんの中原早苗や清水マリ子(まゆみ)がいる。50年前の映画だもんなぁ。北原三枝もみな若い。
 舞台は館山。現在ならアクアラインを使えばあっという間だが、この頃は当然そんなものはない。映画では川崎からのフェリーを使ったのだろう。裕次郎は船でやって来る。こっちの方が絵になるネ。しかし舞台が館山では近すぎて、アキラ映画のような地方ロケのスケール感がない。裕次郎も『俺は待ってるぜ』 『赤い波止場』のような反体制のヒーローではないから緊張感もない。出来としてはくっだらない。それでも裕次郎全盛時代の息吹が感じられる作品。

 ワイズ出版の『日活1954−1971』によると、公開されたのは58年10月29日。おそらく11月の連休にかけての公開だったのだろう。当時の若者の多くは休日にこれ観たのかな。北原三枝みたいな彼女もいないのに、映画館を出るときは裕次郎気分で出て来たのかもしれない。あーそうそう、同名の主題歌はヘンな歌です。聴くたびにそう思います。