エロは儚い 8
2日夜はラピュタ阿佐ヶ谷でまたまた『60年代まぼろしの官能女優たち』
。この夜は香取環主演『引き裂かれた処女』 68年のパートカラー作品。上映後、香取環さんのトークショーがある。
朝10時半にチケット購入。10時15分から発売。まだ15分しか経っていないのに整理番号18番。さすがに主演女優のトークショーがあるからチケットの売れ行きが良い。
映画の内容は忘れないうちに記入(ってもう半分くらい忘れている)。
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清純なホステス(んなもんいるのか?)の雅美(香取環)は常連客の男(名前知らん) にプロポーズされて男の郷里に行く。プロポーズは嘘で男は売春組織の幹部。香取は麻薬漬けにされて売春させられる。常に監視されて逃げる事も出来ない。同じように連れてこられた盲目の娘(白川和子) は強制的に客を取らされたショックで首を吊って自殺。先輩売春婦の手引きで一度は逃げ出したものの、禁断症状が出て捕まって拷問を受ける。男に助けられて二人で脱走。追ってくる組の連中。二人で川辺の岩の陰に隠れているところをライフルが狙っているトコでエンド。
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ロケ地は草津温泉。一ヶ月ロケしたそうだ。面白かったけど、逃げるチャンスは幾らでもあった気がする。それに東京で女をコマして(笑) 麻薬漬けにする手間ヒマかけて売春婦を作って元が取れるのか? 24時間体勢で監視しなきゃならないし、客の方だってチンピラ連中が見張っている中でプレイするのはつまらないと思うのはオイラだけ? 登場する客はただただやりたいだけ。女の立場は全く考えてはいない。どう考えても監禁、強制的に売春させられているのに「金払ってるんだ。サービスしろよ。」 、これ犯罪だろう。街の風俗とは次元が違う。この辺の描写はエロ漫画レベルだ。まーピンク映画だからそんな突っ込みは野暮。
男は組織の中で敵対する幹部がいたりと男側の描写もある。良心の呵責みたいなのもあったのだろう。それがラストの脱走に繋がる。この辺の話の持って行き方は手堅くて良い。この作品はタイトルもあってキチンとパートカラーになっていた。
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終了後はお待ちかねの香取環さんトークショー。
現在の香取さんは70歳。熊本で絆創膏の会社をやられているそうだ。現役時代の面影を残した良い老け方をしていた。周知のように元日活女優・久木登紀子さん。4期入社なので赤木圭一郎(赤塚親弘) と同期。入社当時、研修で俳優座での芝居稽古。五十音順に組んだので、毎回赤塚親弘とペアだったそうだ。トニーの事故のときも現場にいて、内出血だったので血が出ていなかった。かえって出血していた方が良かったのかも? と語る。
印象に残っているのは、デビュー時に出た裕次郎の『紅の翼』。ご本人は病院の受付嬢と語っていたが、市村さんの検証では阿部徹の会社の受付嬢。「裕次郎さんは大部屋の役者さんの力になってくれる、素晴らしい男性だった。」
インタビュアーの方は日活時代には興味はないらしく、裕次郎の話はスルーしていた(笑)。 「日活映画はオールナイトで随分観たのですが、(香取さんが) どこに出ていたのか正直良く分からなくて・・・」
、それに対して「気が付かないでしょ。それが役者だもん(笑)」
日活から独立プロに移った理由について、インタビュアーは「(日活の) プロデューサーに口説かれて嫌になったから?」 。諸説あるらしいが、ご本人曰く「お金のため」 。久木さんには父親がいない。母親が絆創膏の行商をしていたらしい。貧乏だった。日活時代は給料5000円。手取り4500円。台詞がある役だと別に5000円貰えたそうだ。当時住んでいたアパートの家賃が6000円。東京には親戚もいないので生活は苦しかった。それに比べると独立プロは1週間の撮影で2〜3万もらえる。
お金のため、生活のために小林悟監督の『肉体の市場』 に出演した。ピンク映画と言ってもドラマがあった。予算は300万円だったが、まともな話だった、と語る。
大蔵映画にも何本か出ているので、大蔵貢に口説かれたそうですね? と尋ねられていた。ご本人は明言しなかったが、否定もしなかった(笑)。
主役は誰でも出来る。脇とか汚れ役は難しい。芝居の見せ所だから。キレイキレイなのは誰でも出来る、と語る。大部屋から主演までこなしてきたから人だからこそ言える言葉。
葵映画専属だったのは、西原監督の仕事に対する考え方が自分と同じだったから。エロ映画といわれようが平気だった。
向井寛監督の『情炎』(66年) はご本人曰く観たい作品。主演したものの完成品を観ていないらしい。監督が亡くなる一ヶ月くらい前に数十年ぶりに電話があったらしい。「また映画に出てよ。」 と言われた。それが最後だったそうだ。
日活時代は高田馬場に住んでいた。お金が無いので新宿まで徒歩。そこから京王線で通っていた。今回は京王プラザホテルに宿泊したが、東京の変わりように驚いていた。「熊本は良いよ。熊本いらっしゃい。」 、観客に声をかけていた。
今回の特集の取りを飾るのは『悲器』(66年) 。この作品の記憶はないらしい(笑)。
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香取さんは気風の良い女将さんという印象。日活からピンク映画に移るのにはお金のため、と言いながらもそれなりの覚悟はあったと思う。女一匹気丈に生きてきた。そんな強さを感じた。
22時50分終了。まっすぐ帰宅。乗り継ぎも良くすんなり帰れた。
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