ごろつき

 

池袋新文芸座では『孤高のスタア高倉健』 と題し高倉“健” さんの特集が行われている。日替わり上映なので観たいのがあると平日でも出撃しなくてはならない。昨日は13時30分の『ごろつき』 鑑賞に出撃! 

仁侠映画に当時(68年) 流行っていたキックボクシングを絡めた珍品である。

 筑豊の炭鉱で働く健さんは仲間の菅原文太と上京。キックボクシングのチャンピオンを目指す。上京した際、食い詰めて困っていたところを助けてくれた芸能社社長(石山健二郎) のトコで流しを始める。この芸能社は潰れかけの会社。練習の傍ら歌いはじめるのだが、石山の土地を狙う暴力団の渡辺文雄一派の妨害を受ける。芸能社は放火され、石山は殺されてしまう。仇討ちに乗り込んだ菅原文太まで殺されて、定石通り健さんが殴りこむ、というストーリー。
 前半のキックのジムに入門するまではスポ根風。後半は仁侠映画なのだが、どちらも中途半端な出来。どっちかに徹すれば良かったのに、と思うが製作側にいろいろな事情があったのかな。

流しのシーンでは文太アニイのギターで『網走番外地』、『唐獅子牡丹』などの名曲を披露。

 キックのシーンでは野口プロモーションが協力なので、沢村忠、西川純、斉藤天心、藤本勲、往年の名選手たちの顔が見れる。沢村忠と西川純はジムの先輩役。台詞もある。沢村のサンドバッグを蹴るシーンはカッチョ良い。西川は健さんの入門テストでのスパーリング相手。右の回し蹴り一発で健さんをノックアウト。忍者飛びの斉藤天心は健さんの試合相手。この人の動いているところを初めて観た。ヘビー級でポッチャリしているのに結構足が上がっていた。藤本勲氏はどこに出ていたの? 斉藤天心のセコンド? よー分からなかった。字幕では藤本氏は日本ヘビー級王者となっていた(と思う) 。この頃はまだキックの階級はライト、ミドル、ヘビーの3階級しかなかった。

会長の大木実の妹役が吉村実子。キュートでメンコイ。

 映画の出来としてはイマイチだが、上記のような見所があって92分があっという間。それでもキックファンとしては、寸足らずの仁侠映画に走らないでスポ根映画で行って欲しかった。健さんと斉藤天心の試合は一見の価値あり。

 新文芸座はキレイな名画座なのだが、入れ替え制でもないので上映途中から入ってくる客がいた。空席が多いのだからオイラの隣に座るんじゃねぇ! 、置いていたカバンの上に座ろうとしやがったので、あわてて制止。よく見ろよクソジジイ。ヤクザ映画のためか年輩の客が多い。その辺は浅草的か。平日金曜の午後にもかかわらず客は50〜60人いた。世間は忙しく働いている時間帯。それなのに高倉健。良いのかねぇ(お前が言うな)。タイトル通りオイラも“ごろつき” かな(笑)。

 同時上映は『千姫と秀頼』 だが、オイラは体力無いから二本連続は疲れる。時代劇はあまり好きではないので観ないで引き揚げる。腹が減ったので近所の花月で豚そばつけめん食べて帰宅。