刺青一代(65年、脚本・直居欽哉、服部佳 監督・鈴木清順)
 昭和初期、やくざの高橋英樹は敵対する組の幹部・嵯峨善平を刺殺するが、所属する組に裏切られ刺客に襲われる。美術学生の実弟・花ノ本寿と返り討ちにして兄弟は満州逃亡を計る。日本海側の港町にやってきたものの旅費を小松方正に騙し取られた二人は山内明が社長を勤める土建会社・山下組に人夫として潜り込む。花ノ本は山内の妻・伊藤弘子に惚れてしまう。山内の組は土木工事の利権を巡り、河津清三郎が組長を務める神戸組と対立していた。河津は伊藤弘子を人質に山内に工事の談合を迫る。伊藤を救おうとした花ノ本は殺され、高橋は河津の組に単身殴り込みをかける。高橋に惚れる山内の妹に和泉雅子、荒っぽいが人の良い人夫頭に高品格、山内の部下で河津と密通、和泉に横恋慕するインテリに小高雄二が扮した。
 ストーリーは平凡な任侠映画だが、花ノ本が刺されると石畳が赤に変わったり、高橋が乗り込むと青や黄色の襖がパタパタと倒れていったりと、清順美学炸裂の殴りこみシーンは有名!オキャンな娘役の和泉雅子も楽しい。ラストは河津を倒した高橋が警察に連行されるのを和泉が見送るところでエンド。この映画、オープニングからスゴイ!刺青姿のオジサンたちの背中だらけのタイトルバック。当然のことながら全員裸。その筋の方々にはたまらないシーンかも?
(2001年4月9日記)