第14帖

一匹狼

 

一匹狼』 に憧れる。人と群れることなく独立独歩。孤独なオタク野郎のオイラには友達がいないから、一応はオイラも『一匹狼』だ(笑) しかしこんなのは偽者だ。本当の一匹狼というのは、一人で生きていく腕と度胸がなくてはならない。過去、映画では様々な一匹狼が登場してきた。主役、脇役を問わなければ、一番のオススメは『逃亡列車』 の伊藤雄之助だ。

 『逃亡列車』 は石原裕次郎が鉄道部隊の隊長に扮し抗日ゲリラと戦う戦争映画だ。伊藤は朝鮮人の闇屋として登場するのだが、実は栗原という脱走兵。上官を暴行して逃亡。朝鮮人に化けて金さえ積まれれば敵でも味方でも関係なく商売をするダーティな男。しかし日本人とバレてしまい裕次郎に協力してゲリラの包囲網を突破する。ラスト裕次郎に「戦術の立て方、拳銃の撃ち方、全て教本通りだ。お前、脱走兵だろう」 と正体を見抜かれるのだが、「一緒に日本に帰ろう」 と言う誘いを断り、大陸に消えていく。

 軍隊という組織を飛び出して一人で生きてきた伊藤は、日本という国(組織) に属する事を嫌い一匹狼の道を選ぶ。この映画の本当の主人公は伊藤ではないのか。しかしそんなカッコ良く生きるには頭と要領が良くなくては野垂れ死にだ。そんな実力の無い野郎は小市民として群れて生きるしかないのだろう、トホホ。