第2話
蒸発都市

 

正月、人は何をして過ごしているのだろう? 仕事? エライ! こういう人はサクセスして欲しいね。田舎に帰る?帰るところのある人は良いね。(二度と東京に来るなよ、この田舎者め!)。 海外旅行? お金持ちだね、ウラヤマシイ(お〜お、バブリーだね。飛行機落ちないかな)。 お盆と年末年始の東京は田舎者と成金野郎がいなくなるからガラガラで気分が良い。普段は東京の街を我が物顔で歩いている連中がいないだけで、こんなにも空気が美味しいのかと思うのだが、最近はどうも違ってきているような気がする。
 最近は東京に残っている連中が多い。それは不景気のせいもあるが、元旦から営業している店が多いからではないだろうか。1970年代まで正月3が日の東京はガラガラであった。開いている店など殆んど無かった。近所の商店街も当然、閉まっている。だから食料も年内に揃えておかなければならなかった。しかし現代はコンビニもある、開いている店も多い。新宿などは70年代までヨドバシカメラくらいしか営業していなかった。秋葉原などはラジオデパート内のへそ曲がりなパーツ屋が開いている程度、まるでゴーストタウン。ウルトラセブン第35話『蒸発都市』状態であった。当時、例によって行くところのないオイラは自転車で都内をウロウロしていた。その時に見た通行人のいない夕暮れの秋葉原や新宿の風景を今でも憶えています。様相が変わってきたのはファミコンが発売された1983年頃からだと思う。お年玉でフトコロの暖かい『ガキ』、ではない『お子様』 を狙って、元旦からファミコンソフトを売る店が増えた。現在では秋葉原などは元旦から盛況である。しかし今まで開いてなかった方がオカシイと思う。オタクは行く所がないんだもん。開いてないと困るよ。郊外の大型ディスカウントストアなどは家族連れで一杯である。家族を乗せた車がたくさん道を走っているので、街道によっては平日よりも混んでいたりする。昔は正月に旅行に行かなかった家族連中はどこにいたのだろう?年始周りか?それとも家でジッとしていたのか? かつては家でジッとしていたであろう連中が、現代では出歩いているのだろうか。まっ、オイラのようなオタク野郎にとっても出歩く場所があるというのは助かるよ。21世紀はオタクにとっても良い時代になるのかな?(なって欲しいよ!)