空手バカ“映画”一代

 

 東映『空手バカ一代』を観た。30年ぶりぐらいの再見。原作はご存知、梶原一騎先生の代表作。『けんか空手極真拳』 『けんか空手 極真無頼拳』に続くシリーズ三作目。

 今観るとこれヒドイね(笑)。伝統空手を寸止めと揶揄しての道場破り。これ営業妨害じゃないの? 道場に乱入。勝手に立会いを強要。道場生や師範に暴行。そんな犯罪行為を正当化しての描写には疑問を持たざるを得ない。劇中、千葉真一の台詞で「正義無き力は暴力」という台詞があるが、それはアンタ、天に唾するのと同じだゾ。
 原作ではアメリカに行くが、映画では沖縄にスケールダウン。昭和27年という設定だが、どう観ても現代にしか観えん。寸止めかフルコンか。そんなこたぁどうでも良い。映画のほうも、途中から地元の暴力団との戦いへと脱線していく。最後はグレート山下(室田日出男)が殺され、仲間の柔道家の本郷功次郎と敵本拠に殴りこむ。
 この暴力団も、ドスやピストルでやってしまえば良いのに、何故か棒術使いのような連中で対抗。敵の空手使いは冒頭の道場破りで倒した石橋雅史。ここ沖縄って設定でしょ、何でこいつが出るの? しかも一度倒されているから、敵キャラとしての魅力は無い。本拠のセットも『燃えよドラゴン』風の鏡張りの部屋が登場。最後はボスの内田朝雄が千葉ちゃんの正拳突きをくらって頭から鏡に突っ込む。割れた鏡から血だらけの顔がブラ〜・・・エグイ。
 ラストシーンは断崖に立つ千葉ちゃん。本郷功次郎の見守る中で「我が道・・・極真に終わりなし」 海に向って息吹を始める姿にエンド。

 関根勤の物真似ダネ!! これのどこが『空手バカ一代』なの?? 70年代東映アクションって、話がどんどん脱線していくのが多いけど、これはヒドイね。いやそこが魅力。