『恋の罪』 の罪

 

2月1日映画の日は銀座シネパトスで『恋の罪』 鑑賞に出撃! この作品はオイラ的には全くノーマークの作品だった。ネットをフラフラしていたら、偶然この映画の予告編にたどり着いた。

“東電OL殺人事件にインスパイアされた作品” 、という宣伝文句に惹かれた。

円山町で起こった殺人事件。事件に絡む3人の女性の姿を描いたものなのだが、3人とも昼と夜とは違う顔を持っている。

・妻・母でありながら、夫の友人と不倫をしている刑事・水野美紀。
・昼はエリート大学助教授、夜は円山町の売春婦・冨樫真。
・昼は流行作家の貞淑な妻、AV出演を機に、夜は冨樫と客を取るようになる専業主婦・神楽坂恵。

 人は誰でもいろいろな顔を持っているのは分かる。場所や状況、逢う人によって態度や言動が変わるのも分かる。それでもこれはチョッと極端でしょう(笑) 。“風俗嬢と結婚した客がいる” 都市伝説に近い(それ違う話でしょ) 。 普通に考えれば“ありえない話” なのだが、東電OL事件はそんな“ありえない現実” をひっくり返してしまった。

 作り手の立場の人としては、この事件のおかげで、多少の何でもあり、が出来るようになったと思う。地位も名誉もある女性が、夜は街に出て男を誘う。男の側からすれば夢のような話(笑) 。この事件が起こるまでは「んなことあるワケないじゃん!」 だったのが、「だって実在してたじゃん!」 になってしまったのだから。

この『恋の罪』 は、実在した事件に乗っかって、やりたい放題(笑) 。

大学で教鞭をとる冨樫の姿は颯爽として、とても売春している風には見えないし、専業主婦の神楽坂恵も家庭的で、なんでAV出るの? 

 この落差が映画的には絵になるのだろうけど、どーも極端すぎて引いてしまった。それが証拠に、肝心の殺人事件の真相がどうなったのか、記憶にないのだ(オイオイ) 。

 映画のラスト近くでは神楽坂恵が大声張り上げて客を取るシーンがある。「おっぱいプルプルだよ。」 たしか3000円くらいでオッケーっ! していたシーンもあった。戦後のヤミ市でのパンパンじゃないんだから、あんなに堂々とやられたら、渋谷の警察署や地回りのヤクザ(あの辺にいるのかは知らん) も黙ってないだろう。あーいうのは、こっそりやっているからイイんじゃないのかなぁ(こらっ!) 。

 ガックリきたのは、刑事の水野美紀が夫の友人と不倫をしているシーン。ホテルの浴室でバックから攻められて喘いでいたり、単身で殺人現場である円山町のアパートにいると、携帯がかかって来て「オ〇ニーしろ。」 命令されて、死体が転がっていたトコに横たわってやっちゃったり。
 水野美紀といえば、日本最強のアクション女優(ビジンダー・志穂美悦子さんは別格!) 。Mっ気のあるオイラとしては、S側にいて欲しい女優さんなのに、こういう幻想を壊すようなことするなよ〜。

 昼と夜の落差も映画とはいえ、あそこまで堂々とやられては興醒めしてしまう。何で売春しているのか? 何で売春なのか? この辺の説明も、よー分からん。そういう意味ではこの映画は、男の幻想をズタズタにしちゃった『罪』 な作品ということになるのかもしれない。