第4話
おたく野郎23・くたばれバレンタイン
2月14日、バレンタイン。クリスマスに次いで嫌いな日だ。この時期になるとスーパーやコンビニはバレンタインコーナーを作ってチョコレートの売り出しを始める。甘党でもあるオイラはケーキやチョコレートの類は好きである。コンビニで買ったりする事も多い。しかしこの時期はチョコを買うのを躊躇してしまう。いい歳をしたオッサンがバレンタインコーナーのチョコを買うのは恥ずかしいもんネ。この時期はホントにチョコが買いづらい。女性下着売り場を徘徊する変質者の方々の気持ちが分かるヨ。全くはた迷惑なシーズンである。世間では女にモテナイ甘党の男の事など考えてはいないのであろう。
しかし戸籍上、女になっている生き物と最後に口を利いたのはいつの事かなぁ。そうだ!去年、仕事場にセールスに来た保険屋のオバチャンから義理チョコ貰った時だ。
オバチャン「GUTSさん、ハイこれ。」
GUTS「あっ、スイマセン。」
交わした会話はただこれだけ。それ以上喋ったって、保険屋のオバチャンじゃ色気も何もないよ。女なんてオイラから見たらプロトカルチャーだな。(『マクロス』 のゼントラーディ軍かい!)
あれは中学1年生の時だった。思春期で色気づいてきたクラスの女子が男子生徒にチョコレートを贈るのが流行った。クラスで人気のある男たち(スポーツが得意だったり、面白い奴) は女の子たちからチョコレートをたくさん貰っていた。クラスでオイラだけが1個も貰えなかった・・・・・まぁ、無理もない事だと思う。勉強はもちろん、運動もまるでダメ。度胸も根性もないから、よくイジメにあっていた。特に野球部の連中にイジメられていた(だから野球はキライだ!)。 いわゆる根暗なもやしっ子だった。ちなみに、腹筋も懸垂も1回も出来ないという情けない体力しかなかった。1個も貰えないオイラに対し、女子たちから「GUTSクンが、かわいそう!!」 という声が上がってきた。バレンタインの翌日、数人の女の子たちがオイラにチョコレートをくれた。同情チョコってやつね。オイラは前述したように甘いのOKだったからチョコは大好きである。しかし、同情で貰っても嬉しくも何ともない。ミジメなだけである。義理チョコよりも始末が悪い。それだけならまだ良い(いや良くないが・・・)。 5〜6個あったチョコの中で、食いかけが1個あったのだ。手紙が付いていた。
「弟がちょっと食べちゃったけど、キレイだから大丈夫だよ。」
差出人はクラスのK子だった。K子の弟はオイラも知っている。糞ナマイキな小学生である。K子本人の食いかけならまだしも、あんな小学生のクソガキの食いかけなんか持ってきやがって、バカにしてんのか!!(してんだろうな)
大体、同情チョコなんか持ってくる女はオイラのようなミジメな男にチョコを恵んで良い気持ちになっているのだろう。不愉快である。不愉快であると同時に「ありがとう」 と言って受け取った自分が情けなかった。K子は今はどこでどうしているのか、オイラは知らない。どうせ今頃は、ただの30過ぎのコキタナイおばさんにでもなっているのだろう。
合掌
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