みな殺しじゃあ〜!!
10月NECOで放送した『みな殺しの霊歌』。今頃観ました(笑)。
有閑マダムのオバサン方が次々と殺される事件が起きる。犯人はビル建設現場で働く佐藤允。オバサン連中は昼間っから集まってブルーフィルムの鑑賞会をしていた。そこへクリーニング屋の店員少年が配達にやって来る。エロ映画観て興奮したオバサン方は少年を強姦・・・ではない強チンしてしまう。少年はショックでビルから身を投げて自殺してしまう。佐藤充は少年の仇討ちをしてまわっていたのだ。最後は警察に追い詰められ逃げ切れない佐藤充は、ビルから身を投げて死んでしまう。白黒画面のヘンな(良い意味で)映画。
しかし少年は何で自殺するの?観たトコ十代って感じだ。十代の少年と言えばやりたい盛りだ。例えオバサンだろうが、無料で筆下ししてもらったのだから、ラッキー! って思うのがホントだと思う(そう思うのは、オイラだけかな?)。死ぬこたぁ無いだろう。殺されたオバサン方は死ぬ直前、揃って「あのコだって楽しんだはずよ。」と叫んでいる。おまけにオバサン方の中には応蘭芳や中原早苗がいるのだ。応蘭芳に筆下ししてもらえるなんて、羨ましい!!それなのに何で死ぬの???そういやオバサン方の中に菅井きんがいて、死体写真で出てくるのだが結構エグイ(笑)。
もう一つ解せないのが、佐藤と少年の関係。佐藤允は少年の名前すら知らなかったと、独白している。佐藤の働く工事現場の前を、元気にスーパーカブで通って行く。挨拶をかわす程度の付き合いだったのだろう。強チンされたのを慰める回想シーンがあったが、特別親しいワケでもないようだ。名前も知らない少年のために、どうしてそこまでやるの? おまけに佐藤は逃亡中の殺人犯という設定らしいのだが、逃げているのなら目立つことしちゃダメでしょう。そう考えるとこの映画はストーリー自体がおかしくないか??
殺しのストーリーと平行して描かれるのが、定食屋の店員・倍賞千恵子との交流。倍賞千恵子は、家庭内暴力を振るうヤクザな兄貴を殺して執行猶予中、という暗い顔を持つ。この二人が新宿地下道を歩くシーンなど、70年安保直前の不安定な世情を背景にして、騒々しくもあり、もの悲しい感じ。描かれる季節は夏らしいのだが、どこか寒々しい。
ストーリーは乗れなかったけど、佐藤允は良いネ。ジョーさんとはまた違う、“人殺し”やらせたら、この人はNo.1だ。この人の“殺し”には狂気を感じる。出演は他に、佐藤允を追うベテラン刑事に松村達雄、警官に大泉晃。他に須賀不二夫、石井均、吉田義夫、石井富子や太宰久雄の顔も見えました。
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