打倒(ノックダウン) (60年、脚本・宮田輝明・柏木和彦、監督・松尾昭典)
日活スター売り出しの登竜門といえるボクシング映画の佳作。
ボクシングジム会長の野中(大坂志郎)は自らの手でチャンピオンを育てる事に執念を燃やしていた。しかし無敵のチャンピオン白坂には自慢の選手の深江章喜もKOされてしまう。大坂は知り合いの記者の岡田真澄から、高野昭(赤木圭一郎)を紹介される。赤木は工学部に通っていて、ラクビーとボクシングを趣味として楽しむ普通の大学生であった。一度は「ボクシングはレクレーション」と言って大坂の誘いを断った赤木だが、エンジニアをしている兄の二谷英明が暴漢に襲われ重傷をおってしまう。赤木は二谷を襲ったボクサーくずれのヤクザを倒した事で退学処分となる。そして大坂のジムでプロボクサーとしてデビューする。連戦連勝でタイトルマッチに挑む赤木はチャンピオン白坂と壮絶な死闘の果て、タイトルを手にする事になる。しかし白坂は試合後、控え室で亡くなってしまう。白坂の死にショックを受けた赤木は引退を決意するのであった。
赤木のボクシングシーンは大したことはないのだが、松尾昭典の演出は洗練されていて見ごたえがある。
相手役には稲垣美穂子、大坂の姪に和田悦子(本作がデビュー作)が扮した。
(2000年9月23日記)