オカズになる女優さんの多い黒猫館(って何だよそれ)

 

遅ればせながら、昨年11月NECOで放送の『黒猫館に消えた男』。以前にもNECOで放送したので、再見です。

 黒猫館と呼ばれる洋館に住む宇津井健とその叔父・益田キートン。洋館ではポルターガイスト現象が頻繁に起こっていて、宇津井は益田から洋館から出て行く事を勧められる。雨の日の夜中、益田が何者かに襲われる。警察を呼ぶ宇津井。警官と一緒に来たのが新聞記者の丹波哲郎。宇津井健は13年前に死んだ父親の研究を受け継いで黒猫館に住んで研究に没頭している。宇津井健の恋人・宮城まりこは浅草の芝居小屋の歌手。この小屋の踊子・江畑絢子と丹波哲郎は恋人同士。ある日、黒猫館に父親に仕えていた爺や・横山運平が訪ねてくる。横山は宮城の叔父と言われ驚く宇津井。宇津井には行方不明になった妹・市村雅子がいて、横山のところにいる。更に洋館には財宝が隠されていることを知らされる。財宝が隠されている部屋を開けるには鍵が3ついる。一つは宇津井が、一つは市村雅子が、もう一つは弁護士・岬洋二が持っている。父の13回忌に岬洋二が来て3つの鍵が揃うが、財宝が手に入ると宇津井の身に危険が迫る恐れがある・・・らしい。その時、横山が何者かに殺されそうになるが、宇津井の活躍で救われる。襲われた横山が何故か父のマントと同じ絹の切れ端を握り締めておいた事から宇津井は益田の部屋の洋服ダンスから同じマントを見つける。切れ端が一致したことから横山を襲ったのは益田。更にこのマントには特殊な薬品がしみこませてあり、着ると透明人間になれる。今までの出来事はこのマントを使った益田の仕業。宇津井はこのマントを着て透明人間となり、益田の企みを知る。益田は財宝を手に入れるために宮城まりこが働く芝居小屋の支配人・小倉繁とその手下たちを使って宇津井、丹波、市村、岬を監禁。財宝の入った箱を手に入れるが、中には「この薬品は悪用されるだけなので灰にする」という遺言が入っているだけ。本当の財宝は宇津井たちの閉じ込められた部屋の隣にあった。脱出のため宇津井と丹波が協力して壁を壊すと、偶然財宝のある部屋に出る。部屋には大きな箱が、中には財宝がザ〜クザク。その価値は5億円らしい。宮城まりこと江畑絢子が警官隊を連れて来る。益田や小倉、他の手下たちは一網打尽。ラストは何故か江畑は黒猫館に住む事になったらしい。特ダネ賞を貰ったら丹波と結婚するようだ。宇津井は財宝を原子力平和利用研究に寄付。宮城と結婚して研究員となって働くトコでエンド。

 この作品、くっだらない!の一言で済む映画(失礼)。スリラーなんだか喜劇なんだか、どっちつかずで中途半端な作品(益田キートンが悪役の時点でこれは喜劇なのだろう)。 透明マントの効力が切れたのを知らずにマント姿で乗り込んでくる宇津井健をキートンたちが気が付かないフリしているシーンは、ビートたけしあたりがやりそうな漫才だ。階段から落ちそうになったキートンがぶら下がりながら 「喜劇撮ってるんじゃないんだから・・・」というのは楽屋落ちか??でもスリラーっぽい雰囲気も残しているので、あんまり笑えない。これ以外でも突っ込みどころが多いので、検索すると扱っている映画サイトやブログは多い。映画の前半は宮城まりこ(愛くるしい!)の歌のシーンが強引に挿入されているのもご愛嬌。
 ストーリーがキチンと練れていないせいか、無理な展開が目立つ。宇津井健は洋館で研究しているけど、何の研究をしていたのかハッキリしないし、恐らく宇津井本人も分かっていなかったのだろう。そんな研究が成功するわけも無く、益田の透明マント発見で帳消しになってしまう。洋館には隠し部屋に続く落とし穴があったり、その部屋に行くボタンが壁にあるのに、住んでいる益田がそれに気が付かなかったのはヘンだ。
 おまけにその隠し部屋はからくり仕掛けになっていて、壁が迫って中にいる宇津井健や丹波哲郎をペシャンコにしてしまおうとする。そんな手の混んだ仕掛けを作る理由がどこにあるのだ。しかも宇津井健が「早くここから脱出しましょう。」と言うと一足先に閉じ込められていた丹波が「イロイロ試したが、無理だ。」と答える。なのに、壁が迫ってくると宇津井健と二人で壁に体当たり、穴を開けて脱出してしまうのだ。オイオイ、無理なんじゃないのかよ。それとも火事場の馬鹿力か? ラストの原子力研究ってのも唐突だな。何だかもう無茶な展開の作品。
 悪玉の一人に前田通子がいるのは貴重。この人は美人で腰もくびれていて良いのだけど見せ場もないし若さゆえ、どこか顔が未整理。この人やっぱり脱がないと魅力が3割減かな。透明マントも財宝探しも、歌のシーンもまるでかみ合っていないし、宇津井健の熱演とキートンのトボけた芝居も水と油の不思議な作品。でもこれこそが宇津井健映画の魅力か。

 宮城まりこの歌シーンだが、ステージに対して客席の数が少ない。新東宝映画って、総じてこんなのが多いのは気のせい? フリルの付いた振袖姿で歌う後ろで、バレリーナ姿の女のコたちが後ろで踊っているのもヘンな感じ。そういや丹波哲郎はこの映画での相手役・江畑絢子と愛人関係だったのね。二人の子供がデビューするらしいけど、この頃から付き合っていたのかな?? 江畑絢子って、オイラ好みのスゴイ美人。霊界の宣伝マンはこんな人と、あんな事やこんな事をしたのか。羨ましいゾ。でも丹波哲郎ってモテたんだろうな。
 映画としては創世記のテレビドラマみたいなショボイ作品だけど、宮城まりこ、前田通子、江畑絢子とオイラ好みの美人が出ているだけでポイント高いこの映画。オススメです。