第3話
ここは地獄のおたく街

今日の夜、予定していた仕事が中止。時間が空いてしまった。で、久々にバイクで秋葉原へ行った。電脳タウン・秋葉原。ここは世界に誇るおたくの街だ。歩いているのは9割が男。仕事帰りのサラリーマンの他、オイラと同じようなダサダサのもやしのおたく君ばかり。ほら、何やら独りでブツブツ呟きながらショップの立て看板を凝視している奴がいるヨ。
 せっかく秋葉原に来たのだから上級者向けのパーツショップに入ってみる。オイラと同じようなイカサない二人のおたく君が、訳のわからん専門用語を楽しそうに語り合っている。語り合いながらパーツを物色している姿はブキミではある。パソコンに詳しい事が彼らにとってのアイデンティティなのだろう。それでも他人に誇れるものが何もないオイラよりもずっと上等な人生だよナ。
 オイラは総武線のガード下の雑貨店に入った。そこで売られていた安売りCDを見ると舟木一夫のものがあった。手にとって見る。『学園広場』、『ああ青春の胸の血は』、『哀愁の夜』、『仲間たち』といった日活で映画化された曲が収録されていた。これで『友を送る歌』があれば完璧なのだが、980円だったので買ってしまった。舟木一夫の歌でお気に入りは『友を送る歌』と『仲間たち』。人とつるむのが苦手なオイラだが、舟木一夫の青春歌謡は何故か口ずさんでしまう。
・・・みんな一緒に離れずに行こうと言った仲間たち・・・嫌な歌詞だね。舟木一夫の歌は映画から入ったせいか、ついつい口ずさんでしまうよ。
 いつも思うのだが秋葉原は夜が早いのが欠点だ。8時には殆んどの店が閉まってしまう。ツクモ電気は9時までか。覗いて行くか。オイラはツクモを覗いてアキバを後にしましたとさ。
チャンチャン!