第5話  昔は平屋だった気がする・・・

王子100人劇場 (北区 王子)

王子100人劇場はJR王子駅から徒歩5〜6分のところにある、シティホテルやカラオケボックスが入っている雑居ビルの3Fにある北区唯一の映画館だ。このビル内には『王子シネマ』という姉妹館も同居している。ここに来たのは1度だけ、1979年9月26日(水)に、『ビルマの竪琴』(56年 監督・市川昆 脚本・和田夏十出演・三国連太郎 安井昌二 他)を観ている。

 

 

← 現在はシティホテルになっているビルの3Fにあるのだが、79年当時は平屋だった。オイラが観に行ったのは 『甦れ!四騎の会』という題目でプログラムが組まれていた時で、木下恵介・市川崑・小林正樹・黒沢明の作品を日替わり上映していた。たしか、この時は上映時間が夕方6時くらいからの最終回だったため、学校から帰って着替えてから行った。
 周知の様に『ビルマの竪琴』は『第1部望郷篇』(上映時間63分)と『第2部』(上映時間81分)に分かれている。オイラが観たのは116分に編集された『総集篇』である。しかし、総集篇とは言っても2時間近い長い映画である。6時くらいから上映スタートしても終わるのは8時頃。それから家に帰ると、9時くらいになってしまう。当時、高校生だったオイラは家に帰ると親父に見つかってしまい怒られた。「こんな時間まで、どこへ行っていた!」オイラは正直に、「映画を観てきた。」と答えた。

 

「何て映画だ?」オイラはまたまた正直に「ビルマの竪琴・・・」と答えた。正直言って、『ビルマの竪琴』なんて古い映画を親父は知るわけないから、頭ごなしに怒られるだろうと思っていた。しかし親父は「あれは良い映画だ。」と言って叱られずに済んだのだ。オフクロの話では、親父は公開当時に『ビルマの竪琴』を観て感動したらしい。だからお咎め無しで済んだのだ。ちなみに2〜3年前、NHK衛星で『ビルマの竪琴』を放送した事があった。その日は偶然、家にいた親父は晩酌をしながら観たそうだ。「まったく、良い歳してテレビ観て泣いてるよ!」帰宅したオイラにオフクロは無情にもそう言い放っていた。ああ、美しき夫婦愛!!

 

 

← 1F階段入り口にある窓口跡。映画を観るには、3Fの劇場入り口へ直接行けば良い。この劇場は周囲の本屋や飲食店に割引券を常備させてあったり、常連さん向けの会員サービスをしたりと、企業努力に怠りがない。同居しているシティホテルの宿泊客には映画館の招待券が貰えるサービスもある。王子という、どちらかと言えば場末の街の映画館であるが、こういう頑張っている所は消えて欲しくない。最後に、この劇場、HPを開設している。

 

王子シネマ  王子100人劇場 詳細データ
HP参照