谷口千吉…男の世界だ 2

 

10日木曜日は『やま猫作戦』

 谷口監督版『独立愚連隊』 。舞台はお馴染み(笑) の北支戦線。赴任した若い下士官・夏木陽介&伊吹徹。隊長は中丸忠雄だが、ここには正体不明の佐藤允がいる。中丸と佐藤は同期だったが、佐藤は脱走兵を射殺できなかったので昇進の道を断たれスパイのような仕事をしていた。この時、代わりに射殺したのが中丸。中丸はこの時の活躍が認められ出世。明暗を分けていた。親日派の顔役・田崎潤が実はゲリラのボス。佐藤允と夏木陽介が中国人を装ってゲリラの本拠に侵入。捕まっていた伊吹と合流。佐藤の指示でゲリラを壊滅させるものの、佐藤は死んでしまう。佐藤の遺体を前に涙を見せる中丸…冷酷なようで実はイイ奴だったのだか(笑) 。

 星由里子が中国娘役で出ているがメンコイ。日活でいうと松原智恵子っぽくてタマラン。この人は若大将の澄ちゃんの印象が強い。気難しい感じがして好きではないのだが、こういうの観ちゃうと惹かれてしまう(ちなみに『モスゴジ』 の星由里子も好きッス) 。もちろん芸者さん役の水野久美も大好きだぁ!!  久保明が序盤で戦死してしまう若い兵隊役でチョイ出演。この手の作品ではお馴染みの砂塚秀夫も出ていたが出番は少なかった。


16日水曜日は『不良少年』

 戦災孤児を集めた少年院出身の教師・菅原謙二。恩師の笠智衆のおかげで更生した。他の教師とは違って、少年たちと同じ目線であることを自負している。しかし少年たちはそんな菅原が煙ったいようで全く理解を示さない。卒院した少年が電車に轢かれて死んでしまう。身元引受人の工場経営者がヒロポンの密売人で片棒担がされていた。そんなことにも気が付かなかった。刑事からは「脇が甘すぎる。」 と言われ意気消沈。菅原は笠智衆の助言で昔の教え子を訪ねてみる。
 藤木悠は工場で真面目に働いている。タキシードを持っていて同僚に貸し出して貸衣装代を稼いだりしている。青山京子は良いトコのお嬢さんだったようだが、父親が戦犯として死刑になった。明るく素直な娘だったが今は街娼をしていた。それでも本人には暗いところは微塵もなく、金を溜めて洋裁店(飲み屋だったかな?) 経営を夢見ている。昔の生徒たちを集めて同窓会をしようという事になる。場所は笠智衆の家。日曜日、お茶とお菓子を用意して待つのだが、誰も来ない。またまた意気消沈の菅原謙二。
 昔の生徒をまたまた訪ねる。太刀川寛はナイトクラブのボーイ。少年院で一緒だった恋人・中田康子はストリッパー。二人は同じ店で働いている。太刀川は東京大空襲の時に両親に見捨てられたのがトラウマになっている。自分を見捨てた親は空襲で死んで自分は生き残った。親を恨んでいた太刀川が「もう済んだ事。」 と言って親の墓を建てようという話を聞いて救われたような気持ちになる。しかし太刀川は中田に売春をさせていた。二人とも納得の上、自分たちの将来のために金を溜めている、と言う。
 ショックを受けた菅原は青山京子の家を訪ね、酔った勢いで青山と関係してしまう。後で後悔。青山は菅原が好きだったので気にしないで、と言うものの、混乱した菅原は金を払おうとする。そこに警察が踏み込んで菅原は捕まってしまう。金が無ければ恋愛でゴマかせたのに、どこまでも要領が悪い。警察に拘留されている間に笠智衆は亡くなってしまう。
 夜、ショックの菅原が少年院に戻ると久保明、佐藤允(少年かよ!) 、江原達怡たちが脱走しようとしている。止める菅原を少年たちは袋叩き。川に叩き込まれ意識を失う。脱走しようとした少年たちだが、突然改心。介抱される。ラストは笠智衆の墓参りだったかな? もうよく憶えていないが、藤木悠、久保明、同僚教師の安西郷子。あと誰かいたっけ? 土手を歩いていくシーンにエンドマーク。


 菅原謙二の熱血教師ぶりがウザイ(笑) 。菅原先生は同僚教師の安西郷子に気があるようだ。安西の方もまんざらでもない感じ。にもかかわらずアタックしないもんだから、ラストで安西は郷里で見合いして結婚が決まってしまう。何やってるんだよ。

 久保明の屈折した不良少年ぶりは結構サマになっていた。ハンカチに痰を吐いて菅原に「舐めてみろよ。」 と迫る。普通なら? 「バ〜カ」 とか言ってスカしてしまうトコだが、真面目な菅原先生は舐めなかった自分を恥じてしまったりする。佐藤允は全然少年には見えない。この時は既に20歳過ぎていたのだから当然なのだが、どうしてこの人がこんな役なの(笑) 。江原達怡は感じワルイ。えぐち〜…何やってるんだよぉ、という突っ込みはナシ。

 菅原先生の熱意が空回りしっぱなしの作品。ちなみに菅原先生の月給は1万円なかったようだ。8000円とか9000円とか言う台詞があった。時代やネェ。