第14話
地獄街突破指令

 

先日、東京駅構内で起こったコンビニ店長刺殺事件。万引き犯人を捕まえようとして刺殺されてしまった。昼のニュースでは犯人の写真を公開したものの、現在のところ有益な情報はないらしい。東京駅は人の出入りの激しい所とはいえ、付近には皇居があるし一流企業のビルが多い。新宿や上野に比べて品が良い感じがするので、そんな血なまぐさい事件とはあまり縁がないと思っていたよ。
 先週の金曜の夜、オイラは某巨大ターミナル駅にいた。JRから地下鉄に乗り換えて自宅へと急いでいた。孤独なオタク野郎のオイラは基本的に人嫌いだから、人の多い所は苦手だよ。早く帰って部屋に引きこもってオタクライフを満喫したい。そう考えてオイラは歩を進めていた。その時、通路の隅で男たちがもみ合っていた。喧嘩だ!いや違う。
 髪の薄い黒縁メガネをした40代くらいのサラリーマン一人にアロハっぽいシャツを着た20歳前後とおぼしき茶パツの若者3人組が因縁をつけていたのだ。おそらく肩がぶつかった程度の些細な事が発端だったのだろう。ヘタレのオイラなら「何だテメエ!」なんて凄まれたら素直に「申し訳ありません。」とか「スイマセン。」と謝ってしまうところだ。「土下座しろよ。」と言われればビビリまくって頭を下げるよ。腕も度胸も体力も小学生にも負ける程度の力しかないからね。3人組の中でリーダー格のチンピラがサラリーマンに詰め寄っていた。オイラは遠くから様子を覗っていたので台詞までは聞き取れなかったが、このチンピラ野郎は呪いの言葉を吐きながらタバコを吹かしたり唾を吐いたりと威圧的な態度をとっていた。そういう深江章喜や柳瀬志郎みたいな芝居をどこで覚えたんだ?そう尋ねたくなったヨ(笑)。あまりサマになっているとは言えなかったが、サラリーマンにしてみれば恐怖に感じたことだろう。サラリーマンはチンピラに詰め寄られて身を固くしているしかなかった。
 結局、数人の警官がやってきてチンピラたちを連行していったが、自分があのサラリーマンの立場だったら、と思うと本当に恐ろしい。藤岡弘主演の名作アクションドラマ『白い牙』の主題歌、本郷直樹の歌う『悲しみに唾をかけろ』の歌詞の一節を思い出す。
この世にはあらゆる物がある・・・怒りもある、愛だけはない
世の中、物騒デス。皆さんも気をつけましょう。あぁ・・・青木義郎アニキくらいスゴけりゃ、こんなチンピラにゃ負けねぇのに。