強いぞ!僕らの宇津井健

 

8月NECOで放送した新東宝映画『猛吹雪の死闘』を観た。ネットで調べるとこの作品は、和製『クリフハンガー』と評判になっているようだが、オイラは『クリフハンガー』観ていないので分かりましぇ〜ん。オイラに言わせれば、これは宇津井健映画なのれす。 宇津井健の役は元オリンピック代表のスキー選手。雪崩で恋人(三原葉子)を亡くして以来、山小屋に一人で住み、冬山でガイドをしている。そこへ大友純、宗方祐二、菅原文太の宝石強盗団が逃走してくる。それは良いのだが(良くないよ)、何故かこの3人。ホステスの三原葉子(二役)を連れている。カモフラージュ代わりに、接待と称して連れてきたようだが、何とも不自然な設定だ。冬山を越えるのなら足手まといだろうが、三原葉子出ていないとお客さん来ないから仕方ない。

 ガッチリした宇津井健はどう見てもスキーの名手には見えない。おまけに相変わらずエラそう(笑)。強盗団の中にハンサムタワーズの一人、菅原文太がいるのがご愛嬌。一寸オカマっぽい台詞回し。ボスの大友純を裏切って、宝石を独り占めを狙うがバレて殺されそうになる。見苦しく命乞いをする姿は一見の価値あり(いや〜もう名演技ッす)。宇津井健は強盗団の存在を麓に知らせようと伝書鳩を飛ばしたり、顔見知りの猟師呼んだりと奮闘、しかし全てが失敗してしまう。この辺の展開はスリリングなはずなのだが、宇津井健がやるとどうしても陳腐に見えてしまう(笑)。三原葉子、地元の娘で宇津井健を慕う星輝美を人質に取られピ〜ンチ!!星輝美を逃がす事に成功したが、まだ葉子ちゃんがいる。逃走の道案内をさせられる宇津井健。途中、猛吹雪となり、かまくらを作って非難。冬山で寝たら死ぬぞ!、という事でまたまた偉そうに「さぁ、歌でも歌おうか!!」三原葉子と宇津井健がロシア民謡(トロイカ?)を歌いだすと、菅原文太が「♪ドンドンパッパァ〜ドンパッパッ〜♪」(これまた唐突)。この辺は冬山の恐怖感が全く感じられず、思わず笑ってしまいます。
 クライマックスは冬山での壮絶な殴り合い。ここでの宇津井健は主役だから強い強い。拳銃を持っている菅原文太、宗方祐二を圧倒!二人は崖から転落して重傷。救援に来た警官隊に逮捕される。ラストは三原葉子、星輝美と山を降りるのだが、ここでもまた偉そうな宇津井健。三原葉子に「やっほー!」と叫ぶように強要。「 さぁ、みんなで歌いながら帰ろう!」歌う歌が「♪雪の降る街を〜♪」って、お〜い、ハッピーエンドなんだから、もう少し明るい歌、歌えないのかよ。

 この映画、宇津井健の熱演は相変わらずだが、冬山のシーンの迫力は想像以上。ワイズ出版の『石井輝男映画魂』の石井輝男インタビューによると蔵王でロケ。当時は小型のカメラがないので移動も大変で、スキー板を組み合わせたものにカメラを載せて撮影したらしい。アクションや冬山のシーン素晴らしいが、最後まで宇津井健は宇津井健なこの映画、オススメです!!ああそうそう・・・これだけは書いておかないと・・・三原葉子、星輝美。どちらでもじょんじょろりん!!