第3録

麗しの前田通子

 

土曜の夜はバーAで飲みすぎた。23時半に出て近所の松屋で牛丼。これやっちゃうとまた太るんだよなぁ。分かっちゃいるけど何とやら…毎度のパターンだ。 おかげで日曜は朝からダルかった。それでも出撃しなければならない。

 ラピュタ阿佐ヶ谷のモーニング。前田通子特集。10時半から『女真珠王の復讐』 上映後、前田通子さんのトークショーがあるのだ。予想通りというか超満員。ここは席数48。補助席と座布団で対応しても60人くらいしか入れない。チケットは9時半から販売という事だったが、人が多いためか既に売り出されていた。オイラは9時15分に到着、44番だった。9時半には既に完売。危なかった。

 客層は年配者が多かった。勿論オイラのような中年男が大半だが、結構爺さんがいた。おそらくあの頃、前田通子さんにお世話になった世代だろう。9時半過ぎに来て、売り切れで退散した人も多かった。しかし中には諦めない爺さんがいた。受付の女性にソールドアウトと言われても、「立ち見でいいから入れろよ。1人くらい何とかなるだろ!」 食い下がっている爺さんが一人いたのだ。このジジイが来たのは10時過ぎ。時間ギリギリである。受付嬢に「映画は明日も上映しています。」 と言われると「映画はどうでも良いんだよ。前田通子が見たいんだよ。」 早い人は8時前から並んでいたのだ。ギリギリに来て何言ってるんだ、このジジイ。こういう自分だけ特別扱いしろ、という輩は多い。まぁそれくらいでないと、都会では生きていけないか。

 開場の時間になってもこの爺さんは入り口ロビーに粘っていたけれど、あの後どうしたんだろう? まさかまた、入れろ! 、と押し問答かな。

オイラは最後列の補助席に座ることに成功。通常の席だと前に座高の高い奴が座ると観にくい。この補助席がオイラ的には一番良い。

                      

 

映画は12時終了。さてお目当ての前田通子さんのトークショー。白っぽい着物姿で登場。旅館や料亭の女将のような雰囲気。現在76歳。先日TBSラジオ出演のときの写真がスポーツ新聞に掲載されていたが、昔の顔立ちそのままに髪を白くしてシワを増やした、面影を残して老けた感じ。いろいろとご苦労されたらしいけど、変な老け方をしていなかったのでホッ! お元気そうで何よりです。

 司会は昨年“60年代ピンク映画” のときもやっていたライターの鈴木氏(下の名前知らん) 。去年もそうだったけど、取り留めのない話ばかりで展開がイマイチ。本にするのなら、こういう雑談のようなやりとりを編集して繋げれば構わないのだろうが、客の前でやる場合は、ある程度構成やストーリーを決めておかないと何をやりたいのかよー分からなくなる。司会ってのは難しいのだろう。そう考えると、佐藤利明さんはスゴイ!!(ホント) 

 それでも『女真珠王…』 でのヌードシーン撮影時にマスコミ取材が多かった話や16年同棲した志村監督とのなれそめ。今回は上映されないが、志村監督作品で前田通子さんも出演された『軍神山本元帥と連合艦隊』 の話から台湾に渡った話、軍歌を歌ってクラブや劇場を回った話。石井輝男&小林悟監督との出会いと交流。生活に疲れて亡くなった志村敏夫監督のところに逝きたいと思った話などを俯き加減に語ってくれた。

 新東宝をクビになったこと、どん底暮しの時に助けてくれた人がいたこと、波乱万丈な人生を「人生上り坂、下り坂の他に、まさかの坂がある。」 と形容していた。そして観客に一期一会を大切に、と語る。 

 前田さんはご自身の出演された新東宝映画を一切観ていないそうだ。トークショー終盤、「新東宝の映画はいっさい観ておりません。通子の意地でございます。申し訳ございません(笑)」  会場には国際放映関係者も来ていた。出演作品のビデオを貰ったらしいがこれも観ていない。関係者の前でキッパリハッキリ言っていたのに客は大ウケ。
 これから8週間ラピュタでは作品上映が行われるが、会場に来て観ることもないそうだ。「(観に来る事は) しません。やなこった。」 場内爆笑。 

 現在は営んでいたバーを閉めて悠々自適な生活をしているらしい。カラオケ好き。カムバックの意志もなく、99年の『地獄』 で引退とハッキリ。

楽しいイベントは12時45分終了。いやいや貴重な時間でありました。

 前田通子さんは右手を怪我されたそうで、サインは勘弁して欲しい。その代わりにリハビリを兼ねて作ったという、エコ布きんを来場客全員にプレゼント。オイラは赤いのを頂きました。ありがとうございました。

                           

終了後すぐに会場を出た。いつものラーメン屋でラーメン&炒飯で昼食。クタびれて夕方帰宅。晩飯食べて再びラピュタ。21時10分からの『元祖・まな板ショー』 鑑賞。

こちらは朝とは違って、客は15〜16人くらい。22時23分終了。まっすぐ帰宅。シャワー浴びてバタンキュー。長い一日だった。