♪うつくし〜い十代♪

 

今夜のNECOは『美しい十代』 昔はこういうヒット曲をタイトルにした歌謡映画が量産されていた。この頃は地方から出てきた若者が金の卵なんて言われて工場や商店で働いていた。東京オリンピックもあって景気も良かったのだろう。当時は勤労青年を主人公にした映画が量産された。この作品もそんな一本。

 三田明と西尾三枝子は同じ商店で働いている。三田は母親・三崎千恵子と幼い兄弟の面倒を見ながら、夜学に通っている。西尾三枝子は刑事の宇野重吉の紹介でやってきた。夜学への受験勉強中。 この二人とチンピラ・浜田光夫との交流を描いたものなのだが、浜田とデートした西尾三枝子は足を洗う事を勧める。

 その時の台詞が「工場で働きながら一緒に夜学に行こう。」 
今なら派遣でクビ切られるところだが、この頃の日本は高度経済成長の時代。工員は安定した職業の一つだったのだろう。

 映画の前半は浜田光夫の粗暴なチンピラぶりが描かれる。それなのに西尾三枝子は何故か浜田光夫のほうに惹かれて行く。どう考えてもチンピラ・浜田よりも真面目な勤労学生・三田明の方がイイに決まっているじゃないか。仮にオイラが西尾三枝子の身内なら絶対に三田明の方を勧める。実際商店の支配人・下元勉も西尾の将来を考えて、浜田と付き合わないように忠告しているのだ。どうしてこんな男の方が良いのか? もうこの辺で解せないのだが、女の子の中には一時期ワルに憧れるコがいるから、そんなものなのかもしれない。
 浜田光夫も西尾三枝子に惹かれていくが、組の鉄砲玉をやらされそうになる。やれば7〜8年はムショ暮し。悩む浜田。鉄砲玉の仕事は手柄を立てて組員になりたい浜田のダチの市川好朗がやるが返り討ち。殺されてしまう。ラストは宇野重吉の勧めで八王子の少年院で勉強する事になり、浜田、三田、西尾の3人が川原で『美しい十代』を合唱しながら歩いていく姿にエンドマーク。

 少年院って強制的に入れられるトコじゃないの? まぁどうでも良いんだけど。浜田光夫は市川好朗が殺された事で、冷酷な組の兄貴分・梅野泰晴に反逆、組を抜ける決心をする。当然そのままでは済まない。宇野刑事はそれを心配して少年院行きを勧めたのだろう。

 ヒット曲の映画化で三田明本人も出演しているとはいえ、ヒロインが新人の西尾三枝子ではチョッと弱いかな(ご本人&ファンの方失礼) 三田明もそれなりに出番はあるが、良く観ると本筋には絡んでこない。おそらくこの時期メチャ忙しかったと思う。 公開されたのは64年2月8日。同時上映は鈴木清順監督の『花と怒涛』(ワイズ出版 日活映画1954−1971より) 。

出来は平板だけど、主題歌はイイね。オイラはこの歌好きデス。一緒に行く人いないけどカラオケで歌いたい(涙)