わが生涯のかゞやける日(嫌なタイトルだなぁ)

 

29日は17時に京橋フィルムセンターに出撃!  『わが生涯のかゞやける日 』 鑑賞。この作品はオイラ的にまたまた口惜しい思いをした作品。30数年前のテレビ東京毎週土曜日22時から放送の『日本映画名作劇場』 枠で放送した際、例によって睡魔に負けて挫折したのだ。海上に輝く太陽をバックに縦にスクロールするタイトルバックと、滝沢修の銃がコルトポケット風だったことしか記憶がなかった。

                    


・滝沢修は表向きは新聞社を経営。裏では銀座のキャバレーを舞台に暗躍する組織のボス。戦前から軍部と結託して甘い汁を吸ってきた極悪非道な男。

・森雅之は戦時中は理想に燃える青年将校だった。昭和20年8月14日にポツダム宣言受諾を支持する重臣・井上正夫を殺したが、理想に破れ戦後は落ちぶれて滝沢の組織の用心棒になっている。

・山口淑子は井上の娘。父親が死んで戦後は体を売って生きてきたらしい。滝沢のキャバレーに流れてきたが、その美貌を買われ滝沢の愛人になる。

・清水将夫は山口の兄。戦時中は鬼検事で平和主義者を逮捕しては拷問にかけていた。今では報復を恐れて小さくなって生きている。山口が滝沢と愛人契約する条件が清水の就職口。滝沢の新聞社で経理の仕事をする事になる。

・宇野重吉は、滝沢の社とは違うまっとうな新聞社の記者。戦時中、清水の拷問を受け足が不自由。松葉杖を使っている。

 滝沢以外の登場人物は、戦争で人生観が変わってしまった人たちばかりだ。宇野は滝沢の悪行の証拠を掴む。暴露されるとマズイので、清水を脅迫して宇野を殺させようとするが、小心な清水には出来ない。森は滝沢と対決。滝沢を絞め殺す。夜が明けたら自首をする森。山口は滝沢の口から、父親を殺したのは森と聞いていたが、愛し合う二人は朝まで山口の部屋で過ごす。早朝、二人で警視庁に行く。入り口で握手をして1人庁舎内に入っていく森を見守る山口の姿にエンドマーク。

                    

 

あーこういう作品だったのね。30数年ぶりのリベンジを果たせた感があった。しかしこの映画はどういうジャンルの作品になるのだろう。アクション物なのか、それとも恋愛モノか。敗戦で社会のシステムが変わって、その中で生きていく人々を描きたかったのか。平成の現代ではなく、昭和のあの頃に観れば、何か感じるものがあったかもしれない。

 男優の顔ぶれがイイ。森雅之、滝沢修、殿山泰司、清水将夫、加藤嘉、宇野重吉。後に日活映画で活躍する顔ぶれがずらり。皆若いね。滝沢修は結構筋肉質でガタイが良かったのに驚き。キャバレー内で森対滝沢の対決とは、日活野郎から観ると面白いカード(笑) 。極まり技は、森が滝沢を巴投げ。マウントを取って十字締め、だったと思う。

 劇中の字幕が“終戦” ではなく“敗戦” と表記されていたのも時代を感じさせる。昭和二十三年、敗戦直後の銀座の街並みが見られるのも貴重な資料映像だ。銀座は皇居が近かったせいか焼けなかったんだね。誰かの台詞で「三十間川の埋め立て地」 なんてのがあった。ググったら昭和23年に始まって27年に終わったらしい。

 おっと山口淑子でじょんじょろりん!! を忘れずに。敗戦から3年後の作品とはいえ、テンポも良く一気に観られた。面白かった。

                    

しかしオイラはどうもフィルムセンターって好きになれない。入場料も500円。キレイだし設備も素晴らしいが、公共施設のせいか客層は年輩者が多い。いや別に年寄りが悪いというのではないが、いい歳をして気位が高くてマナーがなっていない奴らが多いのだ。
 今日は半分くらいの入りだった。両隣3つ空いていたので、オイラはバッグを左隣の席に置いた。上映直前に入ってきた五十代と思われる男女がオイラの左側の荷物の隣に座った。するとこの二人は自分たちの荷物を、何の断りもなくオイラの荷物の上に置き始めたのだ。オイラはあわてて自分の荷物を右側に置いたのだが、一言も挨拶がなかった。

 一言断るのならまだしも、人の荷物の上に無断で置き始めるとは何事か。普段どんなエライ仕事をしているのか知らないが、プライドだけは高いのだろう。だから「スイマセンネ」 の一言が言えない。今の日本人はみな偉くなってしまった。仕方ないのかね。映画は面白かったけど、その辺がマイナスでした。

18時40分終了。近所のコンビニでカップラーメン&ジャンクフード、定価だけどハイボール買って帰宅。