第4録 

吉田輝男登場

 

21日は14時40分に新橋TCC試写室に出撃! シネマトライアングルさん主催の石井輝男監督『盲獣対一寸法師』、『無頼平野』 上映会。

 『盲獣…』 は石井監督の遺作らしいが、安っぽいビデオ作品という感じ。石井輝男フリークには楽しめる作品なのだろうが、今ヒトツの感。 『無頼平野』 の方が全然面白かった。これはもう映画だった。岡田奈々でじょんじょろりん!! だ。

 オイラ的にこのイベントの目玉は、最後に行われる吉田輝雄氏のトークショーである。まぁ映画だけだったら出撃しなかったけど(失礼!) 、ハンサムタワーが来るのなら行かないわけにはいかない。 上映は15時10分スタート。『盲獣対一寸法師』 上映後、盲獣役の平山久能氏のミニトークショー。その後、『無頼平野』 上映。休憩時間を経て吉田輝雄氏が登場したのは19時。


                   

 

モノホンのハンサムタワーはホントに背が高くて、ガッシリした体型。スーツ姿もキマッている。現役時代の面影そのままのカッコ良さ。74歳ということだが見えない。若々しい。スターはやっぱし違うね。

 トークでは新東宝時代の話から石井輝男監督との付き合い。松竹を経て東映、そして異常性愛路線の話、等々、この人二枚目なのに話し上手。大阪出身者らしく関西弁を交えたトークに場内爆笑。 自身の出演された作品をよく記憶していて、当時の思い出を饒舌に語ってくれるとファンとしてはウレシイ。自分が追い続けてきたものを、ご本人も大事にしてくれているようで安心するのれす。

『続東京流れ者 海は真っ赤な恋の色』 の事もチョロっと。『大悪党作戦』 でジョーさんを借りたので、お返しの意味で出演されたらしい。

 新東宝が潰れるとき、石井監督に誘われて第二東映に移る予定だった。大川社長にも会ってほぼ決まっていた。ところが松竹からも誘いを受けた。迷ったがギャラが松竹の方が30万円ほど多かった。 「昭和36年で30万、これは松竹に行くでしょう(笑)。」 石井監督は「勝手にせい!」 (移籍はほぼ決まっていたので、石井監督が) 「大川社長に上手く言ってくれたらしいですよ。」

 松竹では、その手の趣味のある? 木下恵介監督の話でまたまた爆笑。何もなかったが覚悟はしたらしい(笑) 。松竹はスターでも役者よりも監督の方がエラかった。新東宝は監督と役者は五分くらい。66年『日本ゼロ地帯 夜を狙え』 で石井監督が松竹に来る。監督から電話を貰った。松竹移籍の時は怒られたが、もうその頃はホトボリが醒めていたらしい。

 新東宝時代は「吉田! 」 と呼ばれて怖かったのに、松竹では「輝雄ちゃん」 優しくなっていた(笑) 。しかし松竹の人たちからは「石井監督ってどんな人?」 「そりゃあ怖いよ。」 竹脇無我には「今日は怒鳴られなかったけど、明日は分からないよ。」 脅かしておいた(笑) 。

 東映では若山富三郎にキチンと挨拶しなかったら怒鳴られた。本人としては普通に「こんにちは」 とやったらしいのだが、御大に対しては立ち上がって丁寧に挨拶しないとマズかったらしい。鶴田浩二@吉岡司令補はそんな堅苦しい事は言わなかったそうだ。

 語ってくれたのは1時間15分くらい。『温泉あんま芸者』 の話などはお客さんたちに「観たの? ヤラしいでしょ?(笑) 」 。他にも『異常性愛路線』 や菅原文太氏、俊藤浩滋氏、他の人たちの話などもユーモア混じりに語ってくれた。

 話を聴いていて思ったのは、誰に付いていくかでその後の人生が変わってしまう、ということ。これは役者だけではなく、何の仕事でもそうなのだろうけど、まぁ難しいネ。 「(上手くやっていれば) 今も役者やっていたかも。菅原文太みたいになっていたかな(笑) 。」

                   

 

楽しいイベントは20時15分頃に終了。その後、吉田氏の息子さんが経営する店で懇親会があるらしいが、知り合いもいないし独りなので参加しないで会場を出た。駅近くの麺屋『錦』 でつけめん大盛りで晩飯。バーAにでも寄ろうかと思ったけど、土曜の夜は混んでいるだろう。金もないしね。まっすぐ帰宅。


                   

翌日22日日曜はラピュタ阿佐ヶ谷。10時半からの前田通子特集。昨日は『三等社員と女秘書』 鑑賞。 前田通子の役は多々良純の二号さん役。相変わらずキレイやねぇ。この映画ではオイラの好きな久保菜穂子も出ている。こっちもタマランのぉ。他愛無い喜劇なのだが、思ったよりもまともな出来なので面白く観られた。

 借金回収にやってきた高島忠夫が三島雅夫の会社にやってくる。秘書の久保菜穂子が応対。ジュースを出してやるのだが、この頃はまだ冷蔵庫の普及率が低かったのだろう。戸棚からビンのジュースを出してコップに注いでいた。久保のアパートが出るのだが、電話は当然ない。管理人さんが呼び出していた。 前田通子は愛人らしくマンション暮らし。部屋には電話があった。当時としてはトレンディ(死語!) な暮らしだったのだろう。 この辺の今とは違う生活を観るだけでも楽しい一篇。


                   

昨日一昨日と新東宝の世界に触れることが出来た。非常にご機嫌な週末でありました。