第18話
夢で逢いましょう

我らが上司の野村係長。仕事は出来ないが愉快な人だ。この人の特技は好きな女とセックスをする夢を見る事ができる、というウラヤマシイ技。ホントかよ?
 ある日の仕事帰り。野村係長と飲んだ。ソリマチ君はデートなのか?今日は用事がある、と言って帰ってしまった。彼はオイラと違ってモテモテ君だから、まぁ仕方が無い。場所はいつも行く会社の近所にある安い居酒屋だった。例によって訛ってきた係長は下卑た笑いを浮かべながら「実はねぇGUTSクン。この間、また見ちゃったのヨ。」。
またセックスした夢を見たそうだ。今までも営業の松嶋ナナちゃん、受付の井川ハル子ちゃん等々、そうそうたる顔ぶれと一戦交えたそうだ(笑)。
 今度の相手は何と!秘書課の藤原ノリコちゃん(29歳独身)だった。ノリコちゃんはその名の通り、藤原紀香似のナイスバディの超美人だった。社内でも高嶺の花の存在である。たとえ夢でもウラヤマシイ話しだ。夢の中で最後まで行けたそうだ。中出しまでしたと言うけどホントのホント??でも想像しただけでオゾマシイ。天下の美女のノリ子ちゃんと小太りした脂ぎった中年の係長があんな事やこんな事をするなんて、たとえ夢でも納得できんゾ!(オイオイ)
更に係長は下品な笑いを浮かべながらこう言った。
「藤原クンはネェ、生理が始まるとあそこがチョット匂うのヨ。」
夢って匂いまで表現されるのか?係長のだけそうなのだとすると、恐るべきオッサンだ。話しを聞くと夢ではなくて現実にもそうらしい。どうしてそんな事まで?というオイラの問いに対し係長はお下劣笑いを浮かべて言った。
「知りたい?ネェ知りたいのォ?イヤネ。マチ子に聞いたのヨ。」

 マチ子というのは係長と同期入社の総務部のオバサンだった。女なのに佐藤蛾次郎似の小太りしたアフロヘヤのオバサン。通称「総務の裏部長」の異名を持つ実力者?、社長でさえ一目置く存在であった。係長とは何故か馬が合うらしい。
「マチ子が言ってたノ。トイレで藤原クンの使った後に入るとスゴク匂うらしいのヨ。だから生理が始まるとすぐ判るんダッテ!!」
どんな匂いなのですか?と尋ねると、「エッ!匂い?何と言うかなァ。肥溜めの匂いよォ・・・へッへッヘッ。」
肥溜めとはスゴイ表現!何でも係長は子供の頃に肥溜めに落ちたことがあるのだそうだ。汚ねえナァ。
「夢の中でもネ、これが匂うのヨ。スゴイ臭いんだから、あそこがネ。でもさァ、藤原クンの匂いだと思うと肥溜めの匂いもまた香しい良い匂いに感じてきちゃうノ。この匂いで興奮してきちゃうから不思議ネ。」
何とコメントして良いものか。しかし気持ち分かるなぁ。オイラだってノリ子ちゃんの小便なら飲んでも良いよって気になるもん。(ホントか?)
 係長は何とこの夢で夢精しちゃったそうだ。45歳のオッサンが夢精するなんて、そんな事があるのかぁ??そんな都合の良い夢を見た係長だが、時には怖い夢も見るそうだ。一度、蛾次郎似のマチ子オバちゃんとやった夢を見てしまった事があるらしい。
「あれにはまいったヨ。相手がマチ子だヨ、マチ子。キスしちゃってサ。舌まで入れちゃったんだヨ、舌までだヨ!。何で佐藤蛾次郎と舌を絡ませなきゃいけないノ!?。でさァ、オッパイなんか揉んじゃったりしてサ。オッパイなんか腹も出てるからどこからオッパイでどこまで腹なのか分からないんだヨ。それでも必死に揉んでいると、マチ子が生意気にも喘ぎ声なんか出しやがって、私は一体何やってるんだ?って夢の中なのに思っちゃっタ。あれは一生の不覚ヨ。」
 この夢の時はウナされて隣で寝ていた奥さんに起こされたそうだ。目が覚めた時、汗ビッショリだったらしい。佐藤蛾次郎とキス、舌まで入れたとは、想像しただけで気持ち悪い。しかしゲテモノ食いではないが、ノリ子ちゃんみたいな美人とやるよりも興奮したりして(笑)。
「冗談じゃないヨ、GUTSクン!ナ〜ンデ、佐藤蛾次郎ソックリのマチ子とセックスして興奮しなきゃいけないノ?。」
最初はそう憤慨していた係長だったが、またまた下品な笑いを浮かべて「実はねぇ、マチ子の時も出ちゃったノ。」と告白してくれた。ノリ子ちゃんで出ちゃうのなら分かるが、マチ子オバさんでも夢精するとは恐るべし。高校生じゃあるまいし45歳のオッサンがそんなに夢精ばっかりするものなのか?係長の話しでは夢精をしたのは後にも先にもノリ子ちゃんとマチ子オバちゃんの2人だけなのだそうだ。ちょっとホッとした(笑)。しかし女って生理になると匂うものなのか?それともノリ子ちゃんだけがそうなのか?誰か教えて欲しいナ。
 しかし夢精とはどこか懐かしい響きがする。でもオイラは夢精した経験がない。毎晩、狂ったようにセンズリばかりしていたせいなのか?いや、実は憶えているだけで二回ほどした事がありマス。1度は中学生の時、ピンクレディの夢を見てミーちゃんで出ちゃいました(恥笑)。でもこれは別に不思議ではないよナ。70年代後半頃はピンクレディの全盛期だったから全国数千万(そんなにいたのか?)の男子中高校生はミーちゃんやケイちゃんに童貞奪って欲しいと妄想を膨らませていたはずだからダ!。
 2度目は高校生の時だったかなぁ。牧れいが出てきた夢で出ちゃいました。えっ、牧れい知らない?オタクのオイラにとってはテレビの特撮物『緊急指令10ー4 10ー10』や『スーパーロボット・レッドバロン』の隊員役をしていたお姉さんだった。特に『レッドバロン』ではブーツにミニスカート姿、鞭で敵の戦闘員をビシバシ叩くという今から考えるとアブナイものだったなァ。本放送当時は小学生だったけど、この頃から惹かれるものがあった。再放送で観てからは頭の中は妄想、妄想!(笑)。彼女はオイラの夢の中で何故か自転車に乗っていた。その乗っている姿だけで出てしまったのだから思春期の少年というのは不思議なものだ。その話しを係長にしたら「チミも相当な変態だネェ。」と笑われた。アンタに言われたくないヨ!!