青い山脈

 

今夜のNECOは石坂洋次郎先生の代表作『青い山脈』 原作が発表されたのは昭和22年。現在までに5回も映画化されている。TVでも何度かドラマ化されているが、代表的なのは最初に映画化された今井正監督版。我らが日活版は三度目。今井監督版は確かに名作の風格充分な作品だが、今観ると間延びしたテンポなのは否めない。あーまたこういう事書くと、反論されてしまうかもしれないが、あくまでオイラの主観!!(ガンちゃんの台詞) でモノを言っているので大目に見てください(ホント)。

 贔屓目で観てしまうけど、最も出来が良いのはこの日活・西河克己監督版だと思う。キャスティングが絶妙!! 先生が芦川いづみ、生徒が小百合サマ。もうこれだけでオッケーッ!! てなもんだ。浜田光夫、高橋英樹、二谷英明に南田洋子。まだまだいるぞ、田代みどりに、我らが(笑) 井上昭文さん。藤村有弘に北林谷栄。生徒役にはマニアに人気(失礼)の進千賀子さん。小百合サマの親友? 水森久美子さんもいる。三島雅夫に浜村純、清水将夫に下元勉のベテラン陣も良い。他にも書ききれないくらいの名優さんたちがそれぞれの役をドンピシャな感じで演じている。

 昭和38年作品という事もあり、見せ場の職員会議のシーンもガンちゃん(高橋英樹)が学生運動風にアジ演説ぶったり、その模様を実況中継するという原作にはないシーンもある。テンポも良い。『青春会見録』 にも書いたが、国語教師役の井上昭文さんは今井正監督版を意識して演じたそうです。今日観て気が付いたのだが、北林谷栄の演じた同僚教師は48歳という設定だったということ。老けて見える。今の48歳の働く女性はもう少し若い感じだと思うけど、この頃はこれが歳相応だったのだろうか。実際の北林谷栄さんは1911年生まれらしいから、この作品のときは51歳くらい。

 公開されたのは昭和38年1月3日(ワイズ出版『日活映画1954−1971』より)。年末から裕次郎の『花と竜』 &アキラの『歌う暴れん坊』 の後に公開された。3日からだからこれも正月映画という事になるのかな。これは同時上映が『花と竜』だったのかな?  劇場によっては『歌う暴れん坊』だったのだろうか?

 しかし相変わらず芦川いづみさんの女教師役が良い。こんな美人でキツイ先生にあんな事やこんな事を教わりたい(この変態豚野郎!!) 原作がしっかりしているし西河克己監督の語り口も良い。配役も豪華。この時期の日活青春映画の傑作のひとつ。