第11話 思えば遠くへ来たもんだ |
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市原市民会館は市原市役所の正面にある大きなイベントホールである。田舎だから交通の便は悪い。JR五井駅から小湊鉄道の路線バスで15〜20分くらい乗って市原市役所で降りるのだが、バスは日中1時間に1本しか来ない。 |
当時、アメ横で買った安物のデジタル時計(安いと言っても当時4800円した。防水でもなければストップウォッチはもちろんアラームも付いていない。秒の表示すらないという現在では考えられないシロモノ。それでもオイラにとっては宝物であった。)をチラチラ見ながら時間を計った。五井駅に到着したところで既に2時。「やはりダメか・・・・」最初から観る事は出来そうもない。初めて行った所なので五井駅からどのバスに乗れば良いのかも分からない。しかもバスの時刻表を見てビックリ!!前述した様に一時間に1本しかバスが来ない。「仕方ない・・・・」オイラは駅からタクシーに乗った。もう何度も書いている事だが、オイラは金がない。しかし背に腹は変えられない。『愛と死の記録』はどうしても観たい・・・いや観なければならないのだ!!何故ならオイラは小学校一年の時からサユリストだ。崇拝する吉永小百合様の映画である。しかも未見である。リハーサルといえども万全を期したい。変な使命感にかられて非常用の1000円札をサイフから出し、タクシーを拾った。結局、15分ほど遅れて到着する事がわかった。 |