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恋のつむじ風(69年85分、脚本・才賀明、監督・鍛冶昇)
北海道の開拓村の酪農の娘・松山アカネ(松原智恵子)は同じ村の青年・市ノ瀬俊平(杉良太郎)と結婚式を挙げる。披露宴の途中、杉の子供を身ごもっているという女・まゆみが乗り込んで来る。元々、籠の鳥状態だった自分に嫌気のさしていた松原は出席していた親友・竹野アオイ(太田雅子)と脱走、東京に出てくる。羽田空港に松原と太田を出迎えに来たのが太田のルームメイトの梅村ミドリ(長谷川照子)。ところが長谷川の車がガス欠でエンコ。それを助けたのが大手企業の御曹司・双見安彦(川口恒)。玉の輿願望の強い長谷川は二枚目の川口に目を付ける。松原は三原公夫(和田浩治)が雇われマスターをしている喫茶店で働きながら太田&長谷川と同居を始める。その頃、杉は松原を追って東京に出ていた。杉はまゆみには見覚えがなかった。もちろん子供のことも身に覚えがない。プレイボーイの川口は長谷川や太田と違って貞淑な松原にアタックしてくる。食事をしたりプール(八王子サマーランド!)に行ったりとデートを重ねる松原と川口。夜のクラブで飲んで車中で松原の唇を奪おうとする川口だが松原に拒絶される。驚いた松原は裸足のままタクシーを拾って逃げ帰る。松原にフラレタ川口はその足でナイトクラブで長谷川とデートする。川口は松原と長谷川の二股をかけていたのだ。おまけに川口は御曹司ではなかった。副社長の秘書で社長令嬢・恵子(西恵子@TACの美川隊員)という婚約者までいた。川口のプレイボーイぶりも西の公認だった。太田&松原&長谷川は川口の会社に乗り込むが川口は開き直ってしまう。口惜しい3人。杉は太田を訪ねて松原に会わせて欲しいと頼むが断られる。太田に付きまとう杉だが太田の子分?のマリ子(久万里由香)とミチ子(岡田由紀子)に妨害されてしまう。杉は学生時代の先輩で高校教師・後藤(新田昌玄)の家に居候しながら松原を捜していた。岡田は新田の生徒であった。杉は新田の家で岡田の相談に来ていた姉・河井玲子(山本陽子)と知り合う。山本と良い雰囲気にもなる杉だがやはり松原に未練タラタラ。しかし山本と一緒にいたところを松原が目撃、誤解されて松原にビンタされてしまう。東京に出て来て川口に騙され杉にも裏切られた事を痛感した松原だが和田にプロポーズされ揺れ動く。クラブ(ゴーゴークラブ)で久万里とヤケ酒をあおる杉。岡田は太田の彼氏の高志(沖雅也)と出来てしまい太田もヤケ酒。そこへ結婚式に乗り込んできた女・まゆみと出会う。まゆみは元々は雑誌に出たこともあるモデルだった。3ヶ月前まで和田と同棲していた。子供の父親も和田だったが別れてしまったので中絶しようとしていた。面識のない杉の披露宴に乗り込んだのは杉との結婚に疑問を持つ松原のために太田が画策したことだった。杉はまゆみの夫という事にして保証人となり中絶手術の手助けをする。太田に案内され場末のヌードスタジオでモデルをしていたまゆみから真相を聞く松原。その時、和田が警察に逮捕されてしまう(何をしたのかは録画したビデオではカットされていたので不明)。失意の松原。杉は松原を諦めて北海道に帰る決意をする。松原に最後の別れを告げる杉。自分の気持ちに気づいた松原は杉を追って上野駅へ。松原がホームに着いた時、列車は既に出てしまっていた。失意の松原が駅近くを歩いていると諦めきれないで列車に乗らなかった杉がいる。杉に抱きつく松原の姿がラストシーン。
映画の出来はどうと言う事もない平凡なもの。まゆみと和田が同棲していたとか岡田が新田の生徒だったりとかご都合主義の設定が目立つがそういうのはこの手の映画の定番だネ。田舎娘の役は美人の松原智恵子には不似合いだ。最初結婚に破れた田舎娘が都会に出て垢抜けて恋を重ねる、というものかと思ったのに、特に恋をするわけでもなくダラダラした感じであまり面白くなかった。男女関係に石坂洋次郎作品のような主張もなく、この手の日活青春映画も末期症状という感じ。ゴーゴーやグループサウンズ(登場するのは『内田裕也とザ・フラワーズ』、『キングストーンズ』@知らん)が随所に挿入されるのは時代を感じさせる。しかし松原智恵子は美人だ。現在では吉永小百合サマと並んで上品なオバサンの松原だがこの頃も最高だ!タイトルバックやエンドマークでは潤んだ瞳の松原の写真が登場するのだが、こんな瞳で見つめられたらじょんじょろりんしてしまうヨ。
(2003年3月14日記)
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恋のハイウエイ(67年、脚本・三木克巳、監督・斎藤武市)
田舎から上京した若葉(吉永小百合)は動物園の飼育係をしている幼なじみの金次郎(新克利)のアパートに転がりこむ。吉永は新克利に男を感じないので、同居しても平気である。気疲れして寝不足になる新。吉永は写真学校時代の同級生、関口宏の紹介で雑誌社にカメラマンとして入社する。吉永、新、関口、他にドラマー役の花ノ本寿が絡んでの恋のさや当てを描いた青春映画。他に山本陽子、金子信雄が出演した。ラスト、吉永が選ぶのは新克利。吉永のカメラマン役は正直、似合わない。相手役も新克利、関口宏と日活俳優ではないためか吉永のツッコミもイマイチ歯切れが悪い。同時期製作された『青春のお通り』の方が数段面白い。内容も陳腐で観ていて退屈な作品。
(2000年9月28日記)
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恋人をさがそう(67年81分 脚本・中西隆三、石森史郎 監督・森永健次郎)
伊地知哲夫(西郷輝彦)は大学受験を目指している高校生。西郷はサッカー部のキャプテンで歌が上手くて女にモテモテだが、高校卒業試験の前日に母・あつ子(奈良岡朋子)がひき逃げ事故に遭い大怪我、入院する。このことで受験出来ずに高校浪人となってしまう。西郷は若くして亡くなった父親の跡を継ぎ、新聞記者を目指していた。所属していた高校サッカー部マネージャー・桂木田鶴子(梓英子)の父親(浜田寅彦)は新聞社(毎日新聞社)の重役だった。浜田の口利きで新聞社でアルバイトを始める。ある日、新聞社に遠い親戚と名乗る鮫島幾子(松原智恵子)が現れる。松原は九州天草にいる西郷の祖父・辰之助(花沢徳衛)に会いに来て欲しいと言う。花沢は西郷の父方の祖父で天草の大富豪だった。奈良岡との結婚を許さなかったために絶縁状態であったのだが、西郷は奈良岡に促され天草へ行く。花沢は頑固な男で西郷を松原と結婚させ自分の後継者にするつもりであった。天草には西郷の従兄弟にあたる長太郎(和田浩治)がいたが、西郷が気に入った花沢は西郷に後を継がせようとしたのだ。反発した西郷は東京に戻る。松原は大学進学のために上京、松原を思う和田も東京にやってくるが西郷の説得で和田は松原を諦め天草に帰る決意をする。そんな時、新聞社の先輩で記者の加納(吉田豊明)の調査で奈良岡をひき逃げした犯人が判る。新聞社近くの喫茶店でとぐろを巻いていたチンピラ・二本榎(市村博)であった。西郷は和田の協力を得て市村とその仲間たちを警察につき出す。ラストは天草から花沢がやってくる。奈良岡と和解、和田を後継者にすることを決める。和田や花沢を羽田で見送ってエンド。
タイトルこそ『恋人をさがそう』だが特にさがしている風でもなく轢き逃げ犯をさがす話でもない。一体何をやりたかったのか良くわからない作品。全体的にダラダラした展開で大して面白くなかった。基本的に歌謡映画だと思うのだが歌のシーンも少ない。おまけに若大将じゃあるまいし西郷がやたらとモテるのは変。バイトしていると松原や梓、市村たちが屯していた喫茶店のウェイトレス・菅野ゆき子(五月女マリ)が入れ替わり立ち代り訪ねてくるのはもっと変。これでは仕事にならないゾ!と言いたい。しかも映画の序盤から度々登場して西郷とトラブルを起こしているグループが犯人、というのはご都合主義過ぎるヨ。ラストは梓と腕を組んで去って行くから梓と結ばれるのかもしれないが、どこが『恋人をさがそう』なのか?この頃の和田はこういうどうでもいい映画の助演が多い。勿体無いネ。しかし松原は美人だから別に構わないよ。
(2002年2月13日記)
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交換日記(63年79分白黒 脚本・鈴木政男 監督・森永健二郎)
舞台は横浜。高山虹子(和泉雅子) は高校3年生。学校で運動会の写真にイタズラされる事件が起きる。やったのはクラスメートの啓介(山内賢) 。喫茶店に呼び出された和泉は山内から交際を申し込まれる。最初は起こった和泉だが、山内の真剣さにほだされ、二人の交換日記がスタートする。日記の開始は4月18日晴れ。和泉の家は父・源吉(山田禅二) は大工。母・しず(初井言枝) は家で惣菜屋を営んでいるのだが、暮しは決して楽ではない。ある日山田が足の骨を折って入院してしまう。仕方なく和泉は学校帰りにバイトを始める。最初は中村町の飲食店での皿洗い。21時まで400円。次が賞金が出るというのでミクロゲンパスタのジャズ大会で歌を歌うが参加賞。7月9日の日記では山崎パンの工場でバイトを始める。山内の家は裕福でバイクを持っている。親(父・清水将夫 母・小夜福子 )は大学受験させようと予備校に行かせるが山内はサボり気味。クラスの親友・岡(前野霜一郎) とツルんでいる。前野には父親はいないようだが、母・清子(東恵美子) は有名な? ファッションデザイナー。谷村(嵯峨善兵)というパトロンもいるが、前野は嵯峨が気に入らない。これが原因で素行が悪い。タバコを吸い酒も飲む。クラブに出入りして、時には恐喝や喧嘩をしたりするようだが、なぜか山内と馬が合うようだ。勉強しない山内は和泉との交際を親に咎められるが山内は反発する。二人が交際するためにはやることはやらないと、と日記に書く和泉。お互いに日記で自分たちの不満や現状を吐露したりする。日曜日、12時に銀座4丁目でデートの約束をする二人だが、和泉は東恵美子から急遽ファッションショーのモデルを頼まれる。山内の家にデートのキャンセル電話をする和泉だが、小夜は取り次いでくれない。デートをすっぽかされた山内だが、前野からショーの話を聞き、その日は前野と遊ぶ。ファッションショー(スポンサーはミクロゲンパスタ) では和泉はウェディングドレスを着て賞をとる。夜はその打ち上げで料亭で酒を飲んでしまう。酔っ払って嵯峨に介抱されている姿をクラスの園子(下田二三代)に見られてしまう。大学受験のことでイライラした山内。親と口論してしまう。二人の日記はお互いの下駄箱に入れてやりとりをしていたのだが、ある日和泉は間違えて隣の下駄箱に入れてしまう。二人の交際を快く思わないクラスメートに見られ『男女交際』 に関してクラス討議にかけられてしまう。酔っ払って介抱されていた姿を持ち出され泣き出す和泉。怒った山内は暴れてクラスメートの村瀬(小沢直好)に怪我をさせてしまう。前野も嵯峨と母親とのことでイライラ。嵯峨の車にキーが付いていたので「ぶっ飛ばそうぜ!」 山内を誘って車で飛び出す。そのまま家出。車は熱海の錦ヶ浦で見つかるが二人は行方不明。二人は京都にいるらしい。和泉のところに手紙が届く。学校では山内と前野の処分が問題になっていた。このままでは退学処分。学校には家出のことは内緒。一週間の病欠届けを出した。和泉はクラスメートの力を借りて退学撤回の請願書の署名運動をする。京都にいた二人だが金はない。前野は修学旅行の中学生を恐喝しようとして捕まる。担当警官が温情を見せて学校には知らせなかった。二人は夜行列車で横浜に帰る。請願書のおかげで退学を免れた山内は受験に向けて勉強を始める。和泉が様子を見に行くと、山内は海岸で二人の日記を焼こうとしている。「勉強と恋愛、みんなに迷惑を書けた。日記を焼く事で今までの自分を乗り越えたい。」 日記を焼く。握手して歩き出す二人の姿を空から撮る映像にエンドマーク。
高校生のママ事のような恋愛は失笑してしまう。この時期はこんなものかもしれない。前野霜一郎もグレているのは嵯峨の存在が原因とはこれまた幼い。それでも何もなかったオイラよりも遙かに上等な青春だ(涙) 。山内賢はどうでも良いが、美少女・和泉雅子はメンコイ。あまり裕福ではないので、前髪が無造作に垂れたヘアスタイルが良く似合っている。セーラー服、工員姿もメンコイ。ウェディングドレス姿も拝めるから、その手の趣味の方にはオススメかもしれない(笑)。和田悦子が東の助手。高田敏江が山内の姉。奈良岡朋子が先生。庄司永健が同僚教師役で顔を見せる。この作品は吉永小百合主演で準備されていたらしい。吉永小百合の歌で『虹子の夢』 というのがある。歌詞に「ケイスケくん」 と言うのがあるから主題歌として用意されたものだろう。どういう経緯で和泉雅子主演になったのかは知らないが、吉永小百合は男を引っ張っていくパワーのある女性が似合う。この作品でのママ事恋愛は当時15歳の和泉雅子の方が適役だったと思う。
(2010年7月9日記)
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航空検察官 燃える雲(67年、脚本・藤井鷹史(長谷部安春)、蘇我道夫、小川英、監督・野村孝)
元ジェット機のパイロットの渡哲也は二谷英明にスカウトされ、彼がリーダーを務める航空検察官の訓練を受ける。過酷な訓練を経て正式に航空検察官となった渡は同僚の高橋英樹、十朱幸代らと組んで国際的な人身売買組織を追い詰める。敵組織のボスに大滝秀治、殺し屋に内田良平、宍戸錠。クライマックスは東京湾上空での渡、高橋の操縦する飛行機と宍戸の操縦する機との壮絶な空中戦。「空を汚す奴に飛ぶ資格はない。」という渡の説得に心を動かされた宍戸は投降しようとするが、大滝に撃たれ瀕死の重傷を追う。しかし無線を通じた渡の誘導で宍戸は無事に滑走路に着陸する。日活アクション特有の個に係わる部分は描かれていないものの、エンタテイメントとしては楽しめる佳作。
(2000年9月14日記)
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午前零時の出獄(63年 原作・島田一男 脚本・小川英、中野顕彰 監督・山崎徳次郎)
暴力団高春組のチンピラ・芝山(川地民夫)は兄貴分・中川(上野山功一)を殺害した罪で服役中。出所を目前にしている模範囚だったが面会に来た組員に命を狙われる。やり手の新聞記者・片桐龍一(二谷英明)は刑務所の医務室に潜入、川地から上野山殺しは自分ではない事を聞き出す。しかし罪を被っている訳は喋ろうとしない。特ダネの欲しい二谷は川地を午前零時に出所させ保護する。しかし川地は一人で飛び出してしまう。そんな時にかつての兄貴分・小島(郷^治)が殺される。警察は川地を疑う。しかし殺害のあった日、二谷は川地を尾行していた。二谷が証言すれば川地の容疑は晴れるが、特ダネの欲しい二谷は黙っている。川地が罪を被ったのは2年前に起きた公団汚職事件に関係があった。公団課長の自殺でウヤムヤになったのだが、上野山が高春組組長・高橋春吉(佐々木孝丸)の命令で課長を自殺に見せかけて殺し、口封じに上野山を川地との喧嘩に見せかけて殺害したのだ。しかし追い詰められた川地は佐々木の命を狙う。無実の川地を追い詰めた責任を感じた二谷は警察に全てを話し捜査に協力する。上野山殺しを目撃し麻薬中毒にまで落ちぶれた郷の恋人・浅沼ナミ(白木マリ)の証言を得て佐々木は逮捕、しかしそこへ銃を持った川地が乱入する。二谷の説得で復讐をあきらめた川地は郷の妹で恋人の雪江(松原智恵子)と堅気の暮らしをする決意をする。そして二谷は青森支局へ転勤していくのであった。
作品としてはゴチャゴチャした展開であまりテンポが良くないが、特ダネのためには手段を選ばない冷徹な記者を二谷が好演。二谷との関係に疲れた恋人に香月美奈子が扮した。香月は川地を助けるために特ダネをあきらめて警察に協力する二谷の姿に打たれ二谷と共に青森へ行く。出演は他に二谷の同僚記者に武藤章生、高城淳一、デスクに加藤武、局長に清水将夫。公団汚職の黒幕に小沢栄太郎が扮した。チンピラ役に当時新人だった藤竜也(一言台詞あり!)の姿が見えた。
(2001年12月14日記)
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孤島の太陽(68年、脚本・千葉茂樹、監督・吉田憲二)
高知県沖ノ島で県の駐在保健婦として活動した荒木初子さんをモデルに映画化した作品。荒木初子さんは全国平均を大きく上回っていた乳児死亡率を低下させ、フィラリアの予防などに努め、島の保健衛生の向上に尽力。第1回吉川英治文化賞を受賞した。映画は1949年、荒木初子(樫山文枝)が高知県沖ノ島に保健婦としてやってくるところから始まる。島の衛生状態は最悪で、フィラリアが蔓延、乳幼児の死亡率も高かった。着任当初、島民は排他的で初子を受け入れないが、フィラリア撲滅に献身的な姿に心を開いていく。フィラリアを調査に来る青年医師に勝呂誉、島の無免許医に宇野重吉、村長に浜村淳、島民に浦辺粂子、二木てるみ、前田吟。初子の上司で保健所の職員?に芦川いづみが扮した。良い映画だが、初子が何故ここまで献身的に尽くすのかキチンと描かれていないのが難。この作品は芦川いづみの引退作でもあるのだが、主役ではないので出番も少なく有終の美を飾ったとは言い難い。かつては第一戦で活躍したスター女優の幕切れとしては淋しい最後であった。荒木初子さんは68年、51歳の時、東京でこの映画の試写会に出席後、脳卒中で倒れた。以降、右半身不随になり退職したが島民たちの相談相手になり、98年9月10日、高知県宿毛市市内の病院で死去した。享年81
(2000年11月14日記)
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孤獨の人(57年82分白黒 脚本・中沢信 監督・西河克巳)
学習院高等科に通う孤獨の人・皇太子(現・明仁天皇)とその「ご学友」の皆さんの日常を描いた話し。皇太子のご学友になるのは学習院に入るだけではダメなようで皇太子本人や徳大寺侍従(沢村国太郎)や栗源主任(大坂志郎)の眼鏡にかなわなくてはならない。主だったご学友のメンバーは京極直輔(青山恭二)、岩瀬徹(小林旭)、千谷吉彦(津川雅彦)。他には武藤章生、市村博、等々。皆、お金持ちのお坊ちゃん達である。中でも津川は父(清水将夫)の弟(芦田伸介)の前妻・東大路朋子(月丘夢路)と付きあっている。明確には語られないが月丘は戦時中、戦争に行っていた芦田の留守に不倫をして離婚したらしい。津川は高校生のくせに煙草を吸い酒を飲み、月丘とセックスしたりダンスホールで踊ったりと優雅なナイトライフを過ごしている。またご学友は女にモテたりと役得があるらしい。旭には淳子(芦川いづみ)という彼女がいる。ご学友ということで芦川の方から近づいてきたというからウラヤマシイ。しかし旭が接吻しようとすると拒まれるから当時の男女交際は健全である。しかしメインのストーリーは京都に修学旅行に行くのだがマスコミや野次馬の目があるため自由時間にも満足に外出できなかったり、女子部の生徒と皇太子とのツーショット写真が週刊誌に漏れたり、その度にご学友の坊ちゃんたちが皇太子をサポートする姿を描いたもの。皆、妙に皇太子に親切なのは不気味だ(笑)。皇太子のサポートを巡って旭と青山が対立したりもする。旭は皇太子も自分たちと同じ若者、もっと自由を!と主張する。青山は沢村や大坂等、体制側の考えで皇太子は我々とは違う世界の人、平気で表に出たら世間が混乱すると主張する。青山は初等部から皇太子と一緒だったことにプライドを持っているらしく高等部から一緒になった津川を快く思っていない節がある。旭は皇太子と女子部の娘(稲垣美穂子@新人の表記あり)たちと馬で遠乗りする計画を立てるが沢村に却下されてしまう。それにもめげず、クライマックスは旭が武藤章生たちと皇太子をお忍びで銀座に連れて行く。警衛の阿部徹が気づいて尾行する。目白駅から山手線に乗って行くのだが誰も皇太子に気づかない。銀ブラしていると柳瀬志郎ら不良学生に「タバコに火を貸してくれ。」と絡まれる。緊張する阿部。旭が火をつけてやると行ってしまうのだが不良の一人が柳瀬に「今の皇太子じゃないのか?」と問うが「皇太子がこんなトコにいるわけないよ。」と答える。皇太子は花売り娘から花を買ってやるが娘も気づかない。しかし食事に立ち寄ったレストランで支配人や従業員、客たち(岡田真澄がいた。)にバレてしまう。あわてて店を出ると通りの向こうに月丘とデートする津川の姿を見る。結局、無事に宿舎に皇太子を連れて帰る旭たちだが大騒ぎになっており沢村や大坂から激しく叱責を受けてしまう。しかし旭たちは皇太子を連れて出たことを後悔していない。ラストは宿舎の皇太子の部屋の電気が付き皇太子らしい人影を宿舎の外から確認し去っていく津川の後姿。
原作は実際にご学友だった藤島泰輔の小説で当時ベストセラーになったそうだ。皇太子役を演じたのは黒沢光郎という人らしいが劇中顔は映らない。一言二言台詞があるだけで映っても後姿だけ。さて肝心の映画の出来だがストーリーをなぞっただけの平凡な物。皇太子とご学友の日常と津川と月丘の太陽族的な関係は水と油でまるで噛み合っていないのだ。どちらの話しも中途半端で皇太子=孤独の人という感じがしない。上手く膨らませれば両方とも独立した話しとして面白いモノが出来たと思うだけに勿体無い作品。小林旭はこの映画が『飢える魂』『続・飢える魂』に続くデビュー3作目。芦川いづみは初々しい姿を見せてくれるが出番が少ないのが残念。しかし皇太子が高校生だったのは昭和20年代。そんな時代に乗馬やナイトクラブとは上流階級の坊ちゃんたちの生活は優雅で羨ましいヨ。
(2002年3月16日記)
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この虹の消える時にも(66年、脚本・石森史郎、堀江喜一郎、監督・森永健次郎)
少年院帰りの西郷輝彦は現在は更生してデパートの配送員として真面目に働いている。ある日、西郷は街で盲目の女性、松原智恵子と知り合う。二人は最初は反発したりするのだが、やがて恋に落ちる。しかし少年院時代の仲間が金の無心に来たり、西郷に対する世間の目が厳しかったりする。そんな逆境に負けない西郷&智恵子の姿を描いた青春歌謡映画だが、出来は平凡であまり面白くない・・・・・しかし松原智恵子は美人である。ただそれだけの作品。
(2000年11月8日記)
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この若さある限り(61年76分白黒 原作・石坂洋次郎 脚本・岡田達門 監督・蔵原惟繕)
高校生の大和田行雄(浜田光夫@本名の光曠で出演)は古文の教師・河合のぶ子(吉行和子)に憧れている。隣家に住む同級生・河南亮子(吉永小百合)は浜田のことが好きで何かと世話を焼いてくれる。浜田はモテるようで小百合の親友・大林純子(葵真木子)も浜田が好き。葵は小百合と違い積極的にアプローチするが吉行が好きな浜田は相手にしない。駅前に浜田を呼び出す葵だが相手にされずガックリ。浜田は吉行に熱烈なラブレターを書いて駅前のポストに投函しようとした時、偶然買い物途中の吉行に会う。吉行に促されて喫茶店でお茶する。浜田は屈託無く吉行に告白する。そして「卒業しても会ってくれますか?」ストレートな告白に因惑する吉行。浜田も小百合も秀才なので大学も合格。受験の発表日、浜田は自宅には帰らずに吉行のところへ行く。校門で吉行に渡しそびれたラブレターを手渡す。情熱的な内容だったが悪い気はしない。吉行には大学で講師をしている永瀬栄助(内藤武敏)という婚約者がいた。付き合って4年経つのに「男の欲望で関係したくない。」とセックスは拒む吉行。浜田は卒業しても時々、吉行の家を訪ねていた。浜田の積極的な求愛をサラリとかわすのだが、ある時内藤と浜田が鉢合わせ。険悪な雰囲気となり浜田が帰る。内藤は吉行に襲い掛かるが拒否される。夏休み、小百合が交通事故で足を骨折、入院する。吉行のことで気まずくなっていたため見舞いに行く気にならない浜田。吉行は休みを利用して一人で銚子へ旅行に行く。銚子の旅館でノンビリしていた。それを知った浜田は吉行を追ってやって来る。吉行は浜田を拒否、宿の部屋こそ別々だが海で一緒に過ごすうちに良い雰囲気となり吉行の部屋でセックスになだれ込む。しかし慣れない二人は蚊帳に引っ掛かってしまう。落ちてきた蚊帳の中で浜田は奮闘するのだが吉行はシラけて笑い出してしまう。怒った浜田は外に飛び出す。外は大雨だが夜の海に飛び込む浜田。海から上がってきた浜田に吉行は「これ以上会うのは良くない。」と諭す。翌朝、浜田は東京に帰る。ポンポン船に乗っていると東京からやって来た内藤の乗る船とすれ違う。内藤は吉行を問い詰めるが堂々と「浜田とキスをした。」と答える。浜田は入院している小百合を見舞う。吉行を追いかけて銚子へ行っていた事を怒る小百合。数日後、退院する小百合を迎えに行く浜田。最初は反発する小百合だが仲直り。そのままデートに出かける。吉行は内藤と結婚する決意を固める。新学期が終わると寿退職をする話を同僚女性教師と話をしてエンド。
吉永小百合ではなく浜田光夫主演作品。小百合サマは完璧に脇役。原作は石坂洋次郎の短編『夏の陰画』。読んだ記憶があるけれど内容は憶えてましぇん。ただ蚊帳の中で抱き合うシーンだけ憶えてマス。しかしこの頃の吉行和子は美人なのヨ。こんな教師がいたらじょんじょろりん!!だ。舞台になるのは田園調布近辺のようで駅前が登場するシーンがある。さすがは金持ちの街、小百合サマの家も浜田の家も庭付き女中もいる豪華な家。女性教師に憧れる高校生の話だから少しは淫靡なシーンもあっても良いと思うが、この頃のこの顔ぶれ、しかも石坂洋次郎作品では期待できないのは残念。映画の出来はどうという事もない平凡なものだが浜田は熱演していたと思う。
(2003年7月11日記)
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拳銃(コルト)は俺のパスポート(67年84分白黒 脚本・山田信夫、永原秀一 監督・野村孝)
藤原審爾原作『逃亡者』を映画化したハードボイルドアクションの傑作。プロの殺し屋の上村周治(宍戸錠)とその相棒・塩崎駿(ジェリー藤尾)。大田原組長(佐々木孝丸)の部下・金子(本郷淳)から敵対する組織のボス・島津(嵐寛寿郎)殺しを依頼される。パスポート、航空券、逃走用の車を用意し、嵐寛寿郎を狙撃、用心棒の深江章喜共々、殺害に成功する。しかし空港には島津組の刺客に待ち伏せされる。錠とジェリーは本郷の指示で横浜の安宿・渚館に潜り込む。この宿は長距離のトラック運転手相手の旅館兼食堂。水上生活者への食料搬入(弁当販売?)の仕事もしている。主人はお辰婆さん(武智豊子@胡散臭い)。ここで働く美奈(小林千登勢)は水上生活者の娘。内田の部下・千崎(江角英明)に付きまとわれている。千登勢にはかつて港で働く恋人がいたが江角に殺されていた。千登勢はいつか横浜を出ていく事を夢見ていた。佐々木孝丸は上部組織のボス・内田朝雄の口利きで嵐の息子で島津組の二代目(杉良太郎)と手打ちをする。手打ちの条件が錠とジェリーを差し出すことであった。江角や島津組の殺し屋・草薙幸次郎たちが錠たちの行方を追う。草薙は佐々木の部下・長弘を囮に錠を捜し殺害しようとするが返り討ちにあい、乗っていた車ごと海に沈められる。錠が千登勢と出かけている間にジェリーが捕まってしまう。錠は自分と引き換えにジェリーを解放させる。ジェリーと千登勢を船に乗せ無事に脱出したことを確認した錠は翌朝7時に埋立地で内田、杉、佐々木たちと対決する。内田たちの乗る車は防弾ガラス装備の特注車であった。銃は役に立たない事を知った錠はダイナマイト、時計、磁石、その他の電気部品を購入。スイッチを入れると5秒後に爆発する時限爆弾を作る。早朝、約束の時間よりも早く来た錠は穴を掘る。雑魚の組員たちを倒し特注車に乗る内田&佐々木&杉と佐々木組の殺し屋・宮部昭夫と対決。銃弾が通じない車が迫ってくる。錠は轢かれる直前に事前に掘った穴に飛び込み、通過する車の床下に爆弾を取り付ける。そして爆発、車は大破炎上する。穴から這い出す錠。ヨロヨロとした足取りをとらえてエンド。
『みな殺しの拳銃』、『殺しの烙印』と並ぶ宍戸錠主演のハードボイルドアクションの傑作。西脇英夫著『黄昏にB級映画をみてた』によると予定していた作品がボツになり急遽、製作されたものだそうだ。『黄昏が・・・』が手元にないので詳細は忘れたが脚本を2〜3日で書き10日くらいで撮影したらしい。傑作というものは案外、そういうギリギリの状況で生まれるものなのか。しかし過酷な条件で撮ったためか?手の回った空港から錠とジェリーが強引に突破しようとしたり、ラストの埋立地での対決もわざわざ時間と場所を指定して決闘する等、ストーリーに強引な点が目立つ。しかしそれらを割り引いてもハードボイルドタッチな雰囲気抜群の本作品はアクション映画の傑作。この頃の宍戸錠は殺し屋としてNO.1だよ、マジで。
(2002年8月24日記)
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殺したのは誰だ(57年91分白黒 脚本・新藤兼人 監督・中平康)
栄吉(菅井一郎)は自動車のセールスマン。強引なやり口で売り上げを伸ばす若手の中川(西村晃)に客を取られ崖っぷち状態だ。菅井には10年前に死んだ妻との間にホステス・克子(渡辺美佐子)と大学生・次郎(小林旭)の二人の子供がいるのだが、菅井は家には帰らずに愛人の由利江(山根寿子)の経営する居酒屋“いこい”に居候している。渡辺は山根を嫌っているが旭は菅井や渡辺に内緒で時々、山根の店に出入りして小遣いを貰っているようだ(200円貰うシーンあり)。山根の店はセールスマンの溜まり場になっているようで西村の他、同業のセールスマン数人が常連客。他に通称“ダンロップ”(浜村純)がいつも飲みに来ているが金は無いようだ。西村は仕事だけでなく山根も狙っているらしく、度々誘いの言葉をかけるが山根は相手にしない。渡辺には馴染みの客・富本(梅野泰晴)がいる。梅野を家に連れ込む所を旭に見られてしまう。菅井は友人・フランク(殿山泰司)から車を買ってくれそうな客の情報をもらうが、また西村に取られてしまう。殿山は街を行く車を磨いて小銭を稼ぐ“磨き屋”の元締め。元々は殿山が元祖だったらしいが今では貧乏な少年たちを使いピンはねしているようだ。菅井とは昔馴染みで時々情報を流してくれる。毎回客を取られる事に腹を立てた菅井は“いこい”で西村を殴るが若い西村には勝てず返り討ちにあってしまう。菅井たちセールスマンはフリーでやっているらしく複数の販売店の車を売っている。菅井が出入りしている『たつみ自動車』の社長・毛利(大森義夫)は終戦後、菅井と仕事をしていた仲。旭には河井(青山恭二)、道子(筑波久子)、吉田(武藤章生)の仲間がいる。商才のある青山は宝石店の娘の筑波のルートから宝石を横流し10万円稼ぐ。旭はビリヤードが得意で青山たちの稼いだ金を元手に賭けビリヤードをする。ストレートの健(波多野憲)を相手に7万円稼ぐ旭。菅井はフリーのセールスマンなので大森や他の自動車販売会社に借金があるようだ。大森は友情とビジネスは別だからと催促、そしてそろそろセールスマンから足を洗うように忠告する。そこへ西村が仕事の話を持って来る。それは車をぶつけて金を稼ぐ保険金詐欺だった。報酬は10万円。背に腹はかえられない菅井は承諾する。深夜、西村は菅井を車に乗せ千駄ヶ谷に連れて行く。道の真ん中にあるロータリーに車をぶつけるように指示。菅井は猛スピードでぶつけようとするが恐怖で避けてしまう。心配で付いてきた山根は「止めてくれ!」。偶然通りがかった殿山は報酬が10万円と聞いて「俺がやる」。菅井の代わりにロータリーに突っ込む。車は横転、殿山は死んでしまう。骨になった殿山。菅井は殿山の奥さんに西村から取っただろう5万円を渡す。山根は自分の居酒屋も借金で潰れる寸前だった。「結婚して渡辺や旭と4人で自分の田舎で暮らそう。」と菅井に言う。菅井はヤケ酒を飲み渡辺の働くクラブで暴れてしまう。渡辺がタクシーに乗せ家に連れ帰る。酔った菅井を介抱する旭は「金なら俺が儲けてやる」。翌日、旭は無断で渡辺の郵便貯金を下ろし波多野と賭けビリヤードをするのだが平常心を失った旭はボロ負けしてしまう。失意の菅井だったが街で偶然、昔の知り合いの紳士(清水将夫)と出会う。東亜物産という大会社の常務をして景気が良い清水は昔馴染みということで車を買ってくれる。250万円の車が売れた菅井は有頂天。借金返済も出来て「これから生活も楽になる。」と明るい予感。一時は考えた山根との田舎暮らしをする気もなくなってしまう。山根は荷物をまとめ出発の準備をしていたが菅井にその気が無くなったのを知り部屋でフテ寝。渡辺は自分の通帳を持ち出した旭を捜して山根の店にやってくる。有頂天の菅井は「金のことなら心配するな。」と鼻息が荒い。菅井や渡辺と入れ違いに旭がやって来る。渡辺の金を取られてしまった旭は山根の店のビールを飲んでいる。そこへ西村がやって来る。今度は西村は旭に保険金詐欺の話を持ちかける。最初は断る旭だったが渡辺の金を使ってしまった旭は西村の誘いに乗る。そしてまた千駄ヶ谷のロータリーにやって来る。店で酔いつぶれていた浜村から旭が西村と出て行ったと聞いた菅井と山根は旭たちを追いかける。旭は西村の指示でロータリーにぶつけるところであった。駆けつけた菅井が旭の運転する車の前に立ちはだかる。急に飛び出してきた菅井を旭は避けきれず轢き殺してしまう。そしてハンドルを切りそこない壁に激突する。ラストは走る列車の中。菅井の遺骨を抱く山根、渡辺、包帯姿の旭がいる。旭の目には涙が。トンネルに入り真っ暗な窓の外。そこへタイトル『殺したのは誰だ』が被りエンドマーク(オープニングは菅井の運転する車のカーラジオのスイッチを入れるとタイトルが入るという凝ったものだった)。
落ち目のセールスマン役の菅井、狡猾な西村、胡散臭い殿山。みな怖いくらいの迫力。主演スターとなる前の旭が不良っぽいが父親思いの一面のある息子役を好演していたのも印象に残る。青山の彼女?旭とも関係?しているような筑波は出番が少ないのがチョット不満。でも良い映画だった。
(2003年11月19日記)
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殺しの烙印(67年白黒、脚本・具流八郎、監督・鈴木清順)
ランキングNo3の殺し屋・花田五郎(宍戸錠)は組織から依頼された仕事に失敗する。「失敗した者は死」という掟のため組織から差し向けられる殺し屋を撃破、最後は幻と呼ばれる殺し屋No1(南原宏治)と対決、勝利するまでを描いた作品なのだが、この映画のストーリーはあって無きが如し。覚悟して観ないと不可解な展開で理解に苦しむ事になる。1回観ただけでは良く分からない映画。女を抱くよりも飯の炊ける匂いが好きという錠の性癖や相変わらず奇妙な部屋のセット。無機質で閉鎖された空間の中で繰り広げられる殺し屋同士の虚々実々の駆け引きは面白い。マンガチックだが錠の殺しのテクニックも秀逸。出演は他に組織からの殺しの依頼人で謎の女に真理アンヌ。錠の妻に小川万里子、元ランカーの殺し屋に南廣、組織のエージェント?に玉川伊佐夫が扮した。脚本の具流八郎は清順を含む8人の作家の共作ペンネーム。主題歌は具流八郎グループの1人、大和屋竺が歌っている。(大和屋竺は殺し屋役でも出演。)この作品は鈴木清順の日活最後の作品。以前から会社から睨まれていたのだろう。この作品を観た当時の社長・堀久作は「分からない映画ばかり作る。」と言って清順を解雇した。それだけでも歴史に残る作品である。
映画の最初に錠の使う銃はモーゼル。それもクリップ式ではなく、弾装で弾を装填するタイプ。珍しいなと思っていたら80年頃にハドソン産業から『Nモーゼル』という名称で発売されていた。映画のものと同型かは不明。金が無かったので買えなかったが、当時欲しかった思い出がある。(2001年2月14日記)
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