第13帖
70年代マイナー刑事ドラマベスト10
70年代は刑事ドラマ全盛時代だった。刑事に限らず、記者、探偵、秘密捜査官、一匹狼のアウトローまで何でもいた。トレンディドラマなんてチャラチャラしたモノよりも、暴力のプロたちの活躍する硬派な作品群が幅を利かせていたのだ。今回、独断と偏見でそんなドラマベスト10を選んでみました。それも『太陽にほえろ』のような王道作品はなし。今やマニア(おたく!)しか知らないマイナー作品ばかり。再放送の機会も少ないので、記憶違いもあるかもしれません。その辺はご容赦を!
10位は『兄弟刑事』(77年全15話)。黒沢年男、岡本冨士太、篠田三郎の3兄弟の話。黒沢年男だけ父親が違っていて独り暮らし。岡本&篠田は奈良岡朋子の母親と暮らしている。この辺の異父兄弟の確執みたいなのを軸に、事件を解決していく話。黒沢は自分を捨てた奈良岡を快く思っていなかったのだが、最終回で和解。ラストは奈良岡を「お母さん」と呼んで終わる。
9位は『東京メグレ警視シリーズ』(78年全25話)。愛川欽也のメグレ警視。親友で上司の中村敦夫。二人が通うバーのママさん・佐藤友美がマドンナ。佐藤友美は劇中、ピアノの弾き語りをしながら主題歌も歌っていた。愛川の奥さんが市原悦子で後に家政婦するとは思えない程、良い奥さんしていました。佐藤友美の色っぽさは一見の価値あり!
8位『新宿警察』(75年全26話)。藤原審爾原作をドラマ化。北大路欣也の妹役に多岐川裕美が出ていました。本放送で第1話を、80年代前半頃にTV神奈川で再放送したのを観ただけなので、詳細な記憶なし。東映チャンネルで放送しないかな。
7位『男たちのブルース』(70年全13話)。刑事ドラマではありません。生島治郎原作の同名小説をドラマ化したもの。横浜でナイトクラブを経営している芦田伸介は戦時中、特殊潜航艇の艇長だった。当時の部下の高松英郎は地元のヤクザだが、戦場で芦田に命を助けられた恩を忘れずにいる義理堅い男。ある日、高松の死体が発見される。芦田は高松を殺した犯人を追う。芦田のかつての恋人のクラブ歌手に水野久美、高松の息子に若き日の田村正和が扮した。劇中では水野が主題歌を歌っていたのだが、エンディングになると青江三奈に変わっていました。主演の芦田伸介が戦争を引きずった中年男を好演。日活ムードアクションを彷彿とさせる作品。
6位『真夜中の警視』(73年全7話)。タイトルは警視だが、モノホンの警視ではありません。金のためにはどんな依頼も引き受ける、元警官の原田芳雄は暗黒街で通称「真夜中の警視」と恐れられるアウトロー。劇中で見せるアクションは、当時流行った空手やキックボクシングを彷彿とさせる動き。原田の相手役は中野良子。シナリオ作家協会が製作、凝った話が多かった気がするのだが、出来は平板だった。
5位『追跡』(73年全16話)。これも刑事ドラマではありません。三好徹原作の連作短編集『天使』をドラマ化。中村敦夫が新聞社の横浜支局勤務の遊軍記者・「私」に扮し、毎回事件に関わる女性を天使に見立て話が進む。哀しい話が多くて、見応えがあった。劇中、中村敦夫はべスパを乗り回し取材活動をしていた。
4位『コードナンバー108 七人のリブ』(76年全13話)。野際陽子をリーダーとする国際秘密捜査機関の女捜査官七人が、国際犯罪組織と対決するスパイアクション。他の顔ぶれは前田美波里、ジュディ・オング、毬杏奴、牧れい、山内恵美子、ミッチー・ラブと綺麗どころがズラリ!それだけでも楽しい。
3位『事件マル秘お料理法』(77年全13話)。4位の『七人のリブ』の後番組。元刑事でフランス料理研究家の野際陽子が新米刑事の金沢碧に協力して事件を解決していくヘンなドラマ。牧れいと前田美波里が『七人のリブ』からシフトして出ていました。
2位『ターゲットメン』(71年全13話)。往年の日活アクションスター・小林旭が秘密捜査官に扮し、アジアマフィアや殺し屋集団と戦うアクションドラマ。15階のビルからロープで降りたり、ヘリコプターからコンテナ車に飛び移ったり、ジグザグ運転する車にしがみ付いたりと、JACも真っ青の大活躍を見せる。
そして栄えある第1位は『トリプル捜査線』(73年全12話)。このベタなタイトルが70年代っぽくて良い。大和田伸也が一人二役の双子の刑事で、スケ番上がりの婦警・ビーバーと三人で捜査するからトリプルらしい。二役の大和田伸也の芝居はぎこちなく、同じ画面に映る特撮もチャチ。どう見ても双子の兄弟には見えなかった。上司に長門勇、仲間の刑事には黒沢年男、草刈正雄、川津祐介が出ていた。
これら10本の作品はCSでも放送する機会に恵まれていない埋もれた作品だ。放映話数が7話とか16話とか半端なモノもあるのは、製作中トラブルでもあったのか?それとも低視聴率で打ち切りだったのだろうか?。機会があれば観直してみたい。そういえば数年前、チャンネルNECOに『ターゲットメン』のリクエストを出した事があった。しばらくしてNECO担当者から丁寧な返事が来たのだが、『ターゲットメン』は原版所在不明で幻の作品となっているらしい。70年代までのドラマには原版所在不明、または紛失してしまったものが多く、放送不可能な作品が多いらしい。そういえば東映チャンネルで時たま、60年代のドラマを数話放送することがあるが、あれも全話残っていないのだろう。何とも残念な話だ。
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