第32話 憧れの昌美チャン!!
鈴本キネマ(大塚)

 

鈴本キネマはJR大塚駅南口駅前の商店街『サンモール大塚』の中にあった邦画メインの映画館である。東京では東急世田谷線と並びここだけになった路面電車・都電荒川線の線路を渡り、居酒屋『京樽』と床屋『理髪一番』の間の路地を入り最初の四つ角の一角にある建物の地下1階にあった。上の写真は大塚駅南口。小さいけど都電が走っているのが分かる。下の写真が鈴本キネマ跡。このビルの地下1階にあった。現在は焼肉屋が入っている。この『サンモール大塚』は商店街といってもちょっとサビレタ感じがするのだが、昔は結構賑やかだったそうだ。このビルの2階にも大塚名画座という洋画上映館があったし、すぐ近所には寄席や芝居の小屋もあったらしい。

 

ここに来たのは2度。83年に1度、84年に1度。正確な日にちは当時の手帳を紛失しているので不明。

観た作品は83年が『砂の上の植物園』
84年が『夕暮れ族』(84年 脚本・佐伯俊道 監督・曽根中生 出演・春やすこ、松本ちえこ、蟹江敬三、竹中直人、横須賀昌美)
いずれも日曜日の昼下がりに独りで観に行った(悲笑)。
 『砂の上の・・・』
は鬼才・中平康監督作品。内容に関しては青春大全集を参照してください。『夕暮れ族』は当時、筒見待子が主催して話題になった愛人バンク「夕暮れ族」をモデルにしたロマンポルノ。内容に関しては全く記憶がない。何故、わざわざ観に行ったのかというと、横須賀昌美チャンが出ていたからだ。横須賀昌美・・・この名を口ずさむと今でも胸がトキメキまっす!(恥笑)。

アイドリアン(アイドルおたくの事をそう言うそうだ。)の方ならご存知でしょうが、昌美チャンはファッションモデルを経てアイドルとなり数枚のレコード(オイラは聴いた事が無いのだが『恋のマグネチュード』はヒットしたらしい・・・笑)を出す。当時の雑誌『アクションカメラ』では常連で表紙に名前が載る度に立ち読みしていたナ(ファンなら買えよ!)。憶えているのはテレビのクイズ番組『クイズ!ベストカップル』(81年10月2日(金)〜82年10月8日(金)19時30分〜20時フジテレビ放送)。司会は山城新伍、昌美チャンはアシスタントだった。この番組は数組のカップルが解答者となるクイズ番組。裏番組では80年代東映ヒーロー物の代表作『宇宙刑事ギャバン』だったし、カップルの登場するチャラケタ番組など普段は絶対観ないのだが、昌美チャンが出ているから頻繁にチャンネルをギャバンと変えて観ていた。この頃、横須賀昌美はオイラにとって心のアイドル・・・というよりも心の恋人とでも言うべき存在だった(危ねぇナァ)。偶然、目にした雑誌で見て一目惚れ。この頃、オイラの頭の中は昌美チャンで妄想、妄想!!ホント、大好きだったナァ。他にも日曜日のバラエティ番組のコーナーで大山のぶ代のアシスタントをしていた。勿論、これも毎週チェックしていた。でもアイドルとしてはB級だったし、たしか恋人とのニャンニャン写真がフォーカスされて表舞台から消えていった、と思う(違ってたらゴメン)。そんな時にこのロマンポルノ『夕暮れ族』に出演していると聞いて観に行ったのだ。落ちぶれたアイドルがポルノ映画に、というのは今も昔も変わらないネ(今ならヘアヌードか!?)。この『夕暮れ族』、あまり面白くなかった事もありストーリーその他の記憶は全く無い。出来ればオカズになりそうなシーンでも、と思って行ったのだが大したこと無くてガッカリしたのだけ憶えている。昌美チャンはこの映画の後、女優としてもパッとしなくてバンド結成?ロックシンガー?になったと思ったけどその辺は不明。もう結婚・引退したのかと思ったら横須賀蓉美と名前を変えてVシネマに出ていた。と、いってもそれほど頻繁に出ているわけでもないから普段は何やっているんだろ?
 『砂の上の・・・』のときはそれほど混んでいなかったが、『夕暮れ族』は結構混んでいた。そういえば現実の『夕暮れ族』の筒見待子はどうしているのかな?この鈴本キネマは典型的な場末の映画館。普段は日活ロマンポルノの上映館なのだが、時々一般映画をやったりしていたと思う。80年代後半くらいまであったと思うのだが、これも不明。この辺に来ることは滅多にないが、大塚というとこの鈴本キネマを、そして横須賀昌美を思い出す。ああ・・・今夜はあの頃の自分になって昌美チャンで「じょんじょろりん!!」(オ○ニーかいっ?)

 

 

鈴本キネマ
80年代後半以降、閉館