テンゴングはまだ鳴らない

 

7月25日(金)日本テレビ放送のニュース番組“ニュースプラス1”。この日の特集は『外国人ホームレスに密着』。5月30日(金)に放送したワルインゲ中山氏のその後を追ったドキュメント。ワルインゲ中山はアマチュアボクシング・ミュンヘンオリンピック銀メダリスト&プロボクシング元日本スーパーバンタム級王者。かつては栄光に包まれた男が落ちぶれてホームレス。2年前から池袋の地下道で生活している。仕事を探しているものの60歳近いケニア人を雇ってくれる会社は無い。唯一の収入が月に数回、西口公園で友人の黒人にボクシング指導すること。中山氏は1回2000円でコーチしていた。TVに出た事でホームレスだったことがバレて前妻との間の息子が会いに来る。地下道を追い出され池袋の公園で寝泊りしている父。雨が降ればずぶ濡れである。息子は金を出すからケニアに帰れ!と言う。しかしケニアに帰っても仕事のあてがあるわけではない。おまけに大阪には現在の妻がいる。自身と同じ60歳近い日本人妻をケニアに連れて行くことは出来ない。中山氏は再び職探しを始める。数十社受けて面接まで行けたのは数社。しかし全てダメ。最後に残った会社、神奈川県内の弁当会社の面接を受けに行くことになる。内容は弁当容器の洗浄・・・皿洗いである。これでダメならもうオシマイ。面接に備えてなけなしの金をはたいてリサイクルショップで上着とズボンを購入。精一杯のオシャレをして面接に乗り込む。その甲斐あってか採用となる。職に就けた。初月給貰ったら大阪の奥さんに会いに行くつもりだという。しかし皿洗いの仕事も楽ではない。先輩社員(パート?)のオバちゃんに怒鳴られたりもする。
 若い頃、スターやチャンピオンだった男は歳を取ってもプライドだけは高かったりする。人に頭を下げる事ができなくて堅気の仕事が出来ないで転落していく者は多い。しかし人生の苦汁を舐めたワルインゲ中山はそんな事は無い。注意されると素直に従う。やっと見つけた仕事、多少の事はガマンガマン。
頑張れワルインゲ中山、人生のテンゴングはまだ鳴らない。