第11帖
ウルトラの星光るとき

 

2002年9月21日(土)の夜、シネ・リーブル池袋で『劇場版ウルトラマンコスモス・ムサシ13歳少年編』を観てきました。周知のようにこの作品はムサシ役の杉浦太陽が恐喝暴行容疑で逮捕、公開延期になった時、苦肉の策として松竹円谷プロがムサシの出演シーンを削除、ムサシの少年時代という設定にして子役の少年に差し替えて作った珍品?杉浦太陽が不起訴となったが出来が良い(せっかく作って勿体無いから?)ということで公開された作品。オリジナル版と違い公開されている劇場も少なく、シネ・リーブル池袋ではモーニングとレイトショーでしか上映されない。
 オイラは21時からのレイトショーに行ってきました。到着したのが上映5分前。ビックリした。客席数150くらいの劇場に客が一人もいないのヨ。土曜の夜にウルトラマン観る奴なんて普通いないよナ。青春劇場にも書いたがここはキレイでオシャレな作りの映画館。当然といえば当然だろう。貸切状態で観られるなんてなかなかある事ではない。ラッキー!!と思ったら上映直前にオイラと同じようなダサダサのオタク30代風の男が立て続けに2人入ってきた(この2人は別に知り合いではないようだ)。 しかし少年編でも愛だの夢だのとチャラケタことを言っていた。オリジナル版同様に最低の出来だが、ガラガラの劇場での映画鑑賞はノンビリ観られて良かったデス。
 同時上映の『ウルトラマン伝説』もヒドイ!スーパーGUTSのコウダ隊員を演じた元シブガキ隊のフッくんが子供と紙飛行機に乗って歴代ウルトラマンの格闘シーンを紹介するもの。父親役のフッくんがスーパーGUTSの上着(背中にはPAPAの四文字が!) を着て子供と怪獣ごっこしたりする。おいおいフッくんよ。何バカなことやっているんだ?(仕事だから仕方が無いか)
 オイラの家は商売しているから少年時代に父親に遊んでもらった記憶は無い。親父もお袋もあくせく働いていたよ。だから父親というものは家族サービスなんて女々しいことをするものではないと思っている(アメリカじゃないんだから)。オイラの周囲はみな妻帯者ばかりでこまめに(自慢気に!) 家族を連れていく姿を見るがどうも理解できない。オイラの親父はそんなことしなかったゾ!「だからお前はこうなったんだ。この腐れオタクが!!」と言われれば「全くその通りでございマス!!」としか言いようがない。石原慎太郎の『スパルタ教育』ではないから教育論をぶるつもりはないが、どうも最近の大人は子供に媚び過ぎているような気がする。オイラ的には漫画の『こちら亀有公園前派出所』の両さんがホントだと思う。子供なんて勝手にデカクなると思うんだけどナ。昔の下町の子供はそうだった訳だし。
 しかもこの『ウルトラマン伝説』はウルトラマンがファミリーで音楽に合わせて踊りを踊っていたりする。怪獣との格闘で怪我をするとウルトラの母が出てきて光線で怪我を治してやるシーンもある。いたれりつくせりだネェ。しかしもうこれ観た時はガックリ! ざけんなヨ、と思いました。円谷英二がこれ観たらどう思うんだろ? マイホーム主義もいい加減にしろヨ。この小市民どもが!!

 しかし観客数3人の上映はラクチンだったけど、あんまり客が少ないからレイトショー終了後、係員の人に質問してみた。
「今の上映では客が自分を含めて3人しかいませんでした。もし誰も来かったらどうするのですか?」
係員は若い女性だった。不審なオタク野郎のオイラの質問に怪訝な顔で
「1時間ほど上映して様子を見ます。それでどなたも来られなかったら中止します。」
と答えてくれた。
 ナルホド!でも同じ夜の上映でも新宿で『仮面ライダー龍騎』を観に行ったら結構お客さんが入っていた。コスモスは好きな作品ではないけれど、これが売れないと次の作品に繋がらないからチョット心配!!レイトショーが終わったのが23時近い時間だった。シネ・リーブルのあるメトロポリタンプラザ8階はオシャレな食堂街なのだが23時が閉店時間。どこも店じまいのようだった。外に出ると周囲はアベックばかり。さすがは週末の夜だよネ。そんな楽しそうな連中をかきわけてオイラはバイクで帰りました。