第33話 キレイでお洒落!オタクにゃ敷居が高いゼ
シネ・リーブル池袋

 

池袋、昔は垢抜けない街だった気がする。六本木ほどお洒落ではなく新宿ほど賑やかではない。西武池袋線や東武東上線といった埼玉県方面に行く私鉄線の起点駅のせいか?どこか地方都市の匂いのする街だ。オイラにとって池袋といえば東口の文芸座と北口のソープが馴染みかなぁ(最近はご無沙汰してマス)。現在の池袋駅周辺は東口はサンシャイン60通りが、西口はバブル頃に東京芸術劇場やメトロポリタンプラザが出来て一変した。何だかお洒落な街並みに変わったような気がする。今回紹介する『シネ・リーブル』はこの西口メトロポリタンプラザ8Fにあるキレイな劇場。日活のHPに載っているから直営館か。オープンしたのは2000年4月29日だというから出来てまだ2年のホヤホヤ館だ。写真はその入り口。

入って左側に売店と料金カウンター。劇場は右側にある。中央はロビーになっていて大型のスクリーンが映画の予告編等を映している。このロビーはフリ−スペースとなっていて写真では柱の陰になっているがテーブルと椅子が置いてあり、入場料を払わなくても売店で飲み物やつまみを買って大型スクリーンの予告編を観たりと時間を過ごすことが出来る。ここはシネ・リーブル1と2の二つの劇場に分かれる。1は客席数180。2は130席。それほど大きくはないが細長い作り。オイラは2000年7月20日の昼に2の方で行われた『「紅の拳銃」よ 永遠に』の試写会に行っている。日活HPで試写会の開催を知ってネットで予約。後日、入場ハガキが送られてきた。
 『「紅の拳銃」よ 永遠に』
は調布の日活撮影所内にある『日活芸術学院』創立25周年を記念して製作された作品。スタッフや出演者の多くは学院の講師、在学生、卒業生。学院映像創作科選任講師の及川義弘氏が監督した。しかし映画の学校が作ったものにしては作品の出来は大味なもの。しかし調布を映画の街という設定にしている所は面白かった。主人公・一平(黒部弘康)の家は飲み屋でそこには日活撮影所で働くスタッフたちが常連としてやってくる。年配のスタッフは映画全盛期に日活アクションを作っていたのだろう。酔っ払って「調布は映画の街よ!」とクダを巻くのが印象的。そしてこの街には一軒だけ映画館が残っている。経営者は誰が演じたのか忘れたがこの劇場はスゴイ!!小さいがロビーがあってそこには当時、撮影に使用されたのであろう機材や裕次郎や旭を始めとするスターたちのパネルや映画ポスターが誇らしげに飾られている。上映している作品は当然日活映画ばかり。浅草新劇場と違って治安も良さそう(笑)。オイラのような日活オタクから見たら聖地とも言える夢の劇場だ。現実にこんな所があったら毎週通うヨ。
 偶然観た『紅の拳銃』に感動した一平クンは自分たちで映画を作ろうと決意。撮影所の連中が撮影方法をレクチャーする。芝居の立ち位置を決めたりカメラのセッティングの仕方、等々。おまけにアクション物を撮ると聞いて小道具係り?が「これ使ってよ。」とコルト45リボルバーを差し入れに来たりするのだ。一平クンが書いたシナリオは日活アクションの猿真似のようなものだったのだろう。ヒロイン・三咲(中丸シオン)に「流れ者とか殺し屋とか、もう少しまともなモノが書けないの?」というような事を言われてしまう(笑)。おまけに今やこの手のオマージュ物には欠かせない存在となった宍戸錠も特別出演。地元・調布の暴力団のボス役で登場。ある日、一平たちは調布駅前で映画の撮影中に組のチンピラに因縁を付けられて喧嘩になってしまう。事務所に連れこまれて危機一髪!という時にダークスーツに身を固めた我らがジョーさん登場。一平クンがコルト45を持っているのを見たジョーさんはそれを手にとり「コルト45か・・・俺は自動式よりもリボルバーの方が好きだ。自動式は不発があると・・・・」と呟くと一平クンが台詞をひったくって「・・・突込みをおこしてしまう。そうなったらどんな名人もお手上げさ。」と『紅の拳銃』での垂水吾郎の台詞を叫ぶ。するとジョーさんは「『紅の拳銃』か。あれは良い映画だった。今日のところは赤木圭一郎に免じて勘弁してやる。」となるのだ。いやいやウレシイね。そして映画が完成。閉館が決まった映画館で上映会をやる。ラストは上映が成功、映画館の入り口付近に貼ってあった『紅の拳銃』のポスターが取れかかっている。一平はそれをキチンと貼りなおしてポスターのトニーに「ありがとうございました。」と呟き深々と頭を下げる。すると映画のワンシーンでニヤリと笑うトニーの姿がスローモーションで映る。もうこれだけで日活オタク感涙の作品だよ。しかし唐突にヒロイン・三咲の家が借金苦になって転校していったりと登場人物の設定がキチンと消化されていない等、納得できない点が多かった。大体、『紅の拳銃』なんてマニアックな映画、一般受けしないよ。オイラが映画会社の人間ならこんな作品を題材に商業映画(なのか?)は作らない。誰が観に来るんだ!と言いたい。企画の段階で??を付けたくなる作品ではある。まぁそれはさて置きマニア&オタクには嬉しい作品。
 今回、キレイな劇場での試写会は客の入りは7〜8割だったかな。監督や出演者の舞台挨拶があってから映画の上映。たしかこの日は良い天気だった。売店でビールを買ってチビチビ飲みながら見物させてもらいました。このシネ・リーブルのある8Fフロアはイタ飯屋やスペイン料理屋にタイ料理屋等、お洒落なお店が並んでいる。デートコースにピッタリ!という感じだ。シネ・リーブルもキレイだし、ここはオイラのようなダサダサのオタク野郎の来るところではない感じだった。今回使用している写真は土曜日の夜に撮ったもの。写真には写ってないけど8Fフロアはカップルだらけ(笑)。あとは家族連れも数組いたかな。そんなお洒落な所をオイラは例によって洗いざらしのTシャツにジーパン。背中にはディパックというオタク全開ファッションでちた(笑)。
 オタクのオイラには場違いな場所だけど映画はこういう治安の良いところで落ち着いて観たいもの。日活映画をやるにはお上品過ぎるけど、ホモの痴漢やスリを警戒しながら立ち見をしなくて良いから集中できる。こういう劇場で日活映画をジャンジャンやってくれたら通うんだけどナァ。

 

 

シネ・リーブル池袋
日活HP参照