第9帖
コルトは淋しい男の歌さ

 

ご存知「抜き射ちの竜」が映画で使用したのが写真の銃、コルトウッズマンである。ウッズマンといえば望月三起也の人気マンガ『ワイルド7』の飛葉ちゃんの愛銃として有名だが、日活オタクのオイラとしては「抜き射ちの竜」の愛銃である。第8帖のルガーマークTと同じく22口径ピストル。これは第3帖で書いたコルト45に比べると弾が小さい為、殺傷力が低い。反動も小さいので命中率が高くなる。殺さぬ殺し屋、抜き射ちの竜が使用するのにピッタリのガンだ。写真の銃は4インチモデル。

 

 

劇中ではこの4インチモデルを使用しているが、『抜き射ちの竜』のスチールを観ると銃身が長いのを構えているのもあるから日活では6インチモデルも用意していたのだろう。しかし映画版ではこの銃は1作目『抜き射ちの竜』と3作目の『不敵に笑う男』のオープニングでしか使用されていないのだ。2作目『電光石火の男』は主人公は竜ではない番外篇的なものだから当然か?3作目も映画の序盤、藤村有弘を撃った後、ウッズマン持参で自首しているので出所後は登場しない。コルトの謙(宍戸錠)の日活コルトを借りて使用している。4作目『明日なき男』では全く登場しない。序盤で堅気になろうとワルサーP38似の銃を海に捨ててしまい、ずっと日活コルトを使用していた。上の写真の銃はMGC製モデルガン。ABS樹脂で出来ているブローバックモデル。購入したのは1979年9月8日(土)。当時、渋谷の金王坂にあったMGC渋谷店で買った。この時、MGCでは夏恒例のファイヤーセールというバーゲンをやっていた。人気モデルは1割引きだが不人気モデルは3割引き程度で販売していた。当時、ウッズマンはMGCの看板モデルだったので1割引きだった。値段は定価が8000円だったので7200円。

 

 

 

この頃、MGCではモデルガンを発火させるのに従来の紙火薬ではなくて写真のM.G.CAPを使用することを推奨していた。これは一粒、薬莢(カートリッジ)に挿入させればOKというもので、紙火薬を数粒切って挿入するよりも安全、簡単という優れモノであった。しかしこれ一個ではガス圧が足りないようでキチンとした排夾動作が出来ない事があったようだ。写真を観れば分かるようにオイラは3発しか撃たなかった。たしか3発共、キチンとブローバックしたが、もっと撃っていたら突っ込みを起こす場面に遭遇したかもしれない。

 

 

M.G.CAPは確かに便利なものだったが、火薬の量がブローバックさせる必要最低限の量だったのだろう。ブローバックの動きに比べて発火音がイマイチだった。ほとんど音がしなくてただガシャン!というスライド音だけだったのだ。モデルガンを撃つ醍醐味は排夾動作のみならずバン!という銃声!だよ。ブローバックモデルの楽しみは排夾動作に伴う反動だが、ABSモデルではスライド部分が軽量のため期待できない。それだけに音は欲しいヨ。住宅街であんまり派手な音をさせると近所迷惑だし、まかり間違うと通報されて警察が来るなんて事になるから音はしない方が良いのかもしれないが少しは欲しいよナァ。
 土曜日の夕方、オイラは自転車でフラフラとモデルガンショップを覗きに行く事が多かった。特に何か買うわけではないのだが、土曜日の夕方というのは学生にとって最も開放感がある時、家にいるのも勿体無いので自転車に乗っては都内を徘徊していたのだ。JR渋谷駅から青山通りにかけての坂道の金王通り沿いにあったMGC渋谷店は70年代後半頃にオープンした店で店の奥にはウェスタンアームズの店舗が入っていた。この店はもう無いと思う。いつ頃無くなったのかは知らないが、当時は金が無いのでただ見に行くだけ。買うとしたら上にも書いたファイヤーセールの時だけであった。今でもあの土曜の夕方に青山通りで見た夕焼けの眩しさは憶えている。たまにあの辺をバイクで通ると日活映画とモデルガン、そしてオ〇ニーに明け暮れたあの頃の事を思い出す。
淋しいネ。