第8帖
俺のルガーは素早い

 

 『拳銃無頼帖シリーズ』の主人公、「抜き射ちの竜」こと剣崎竜次(原作では竜崎三四郎)。
今観ると陳腐でアホらしい作品なのだが(でもヒロイン役の浅丘ルリ子&笹森礼子好き)、高校生の頃など部屋の中でモデルガン構えちゃ映画の中のトニーの真似をしていた。とても人には見せられない恥ずかしいポーズで構えてみたりして・・・・・ブハハ。原作は映画以上にクダラなかった。しかしその独特のクダラなさが面白くて通学の電車の中で愛読していたのだ。
 さて原作本の中で抜き射ちの竜の使用していた拳銃は何なのだろう。当時、ガンマニアだったオイラにとってこれは是非知りたい事だった。城戸禮の原作本を読んでも詳しく書いちゃいなかった。第5帖にも書いたが城戸禮という人は大藪春彦と違って登場する拳銃や車の描写が非常にいい加減な人で後年、竜崎軍団時代の愛車はマセラッティ・ギブリクーペ。ただこれだけだし、拳銃もコルトの譲の銃はコルトオートマチック、肝心の竜の銃もオートマチックルガ―という描写だけ。ルガ―といえば大藪作品でも有名なトグルアクションのルガ―P08がポピュラーなのだがどうも違うようだ。(ルガ―P08といえば『太陽にほえろ』でボス・石原裕次郎が劇中で使用している。)当時、オイラは竜の愛銃ルガ―のイメージが掴めない間々、城戸禮作品を読んでいた。第5帖でも書いたが竜は大学生から始まって拳銃使い、探偵、タクシー運転手、国際警察の捜査官、市長、そして警視へと職を転々?としている。タイトルは忘れたが国際警察時代の作品を読んでいたら竜の銃がアメリカンルガ―だという記述を見つけた。いつもはオートマチックルガーだけだったのに何故?。おそらく城戸先生は作品執筆中に拳銃の本か何かでこの銃の存在を知ったのだろう。それで急遽、登場させたのではないか?と思う。(このいい加減さがタマラン。)

 

 

写真の銃がアメリカンルガー。
正式名称はルガ―・マークT。
アメリカのスタームルガー社製だからアメリカンルガーと呼ばれていたそうだ。銃身が4インチのものがスタンダードモデル。6インチのものはターゲットモデルという。22口径でちょっとした射撃競技等で使用される事もある。実際、米国陸軍の練習用に使用されたりするという噂も聞いた。

 

写真の銃は6インチのもの。今は亡きモデルガンメーカーCMC社製。80年頃に購入。価格は8500円だったか?最初、アメリカンルガーがルガー・マークTだという事を知らなかった。当時、定期購読していた拳銃雑誌月刊『GUN』誌で知ったと思う。で、購入を決意しました。買ったのはたしかアメ横にあったCMCの出店だったと思う。1坪くらいの小さな店だがCMCの商品はここで全て購入できた。CMCはブローニングやワルサーPPKやP38。ルガーP08等の金属製のモデルガンを発売していた。しかも全てブローバックモデルだったと思う(違ってたかな?)。皆、部品の一つ一つがしっかりしていてリアルな作りのモノが多かった。しかし亜鉛合金製のものを紙火薬でブローバックさせるのは無理があるのか?アメリカンルガーの動作はやや大味だった。薬莢を完璧にエジェクト出来ずにスライドに引っかかってしまい完璧な排莢動作が出来なかったのだ。CMCのブローバックモデルはこれしか持っていないので分からないのだが、他のCMC商品はどうだったんだろ?ライバルのMGCはABS樹脂製のせいか?みな動作が確実で当たり外れがなかった。第3帖で書いたハドソン産業製コルト45リボルバーも動作がイマイチだったので、オイラ的にはモデルガンメーカーとしてはMGCが一番だった。しかしMGCのガンは確実性を取ったために内部構造は実銃と若干違っていたようだ。結局、CMCやハドソンのように工芸品としての美しさやリアルなメカを取るか、MGCのように実銃と違っても確実な動作を取るかという方向性によるものなのだろう。
 購入価格8500円は当時のオイラにとってチョイトばかり痛かった。でも抜き射ちの竜が使っていた銃だと思うと多少無理してでも欲しかった。ブローバックの動作は上記の通りだったので火薬をつめて撃ったのは数えるほど。この点はちょっとガッカリした記憶がある。でも映画版で竜が使っていたのはこの銃ではないのだ『抜き射ちの竜』のスチールを見ると全然違うのだ。では何だろう?
それはまた次回に・・・・・明日のココロだぁ!ヒューヒュッヒュッヒューヒュッ(口笛のつもり!)