蔵原惟繕監督特集

 

★ フィルムセンターで昨日から始まった蔵原惟繕特集。昨日は『第三の死角』鑑賞に出撃!  結構混んでいた。上映30分前に行ったのだが、既に50〜60人は並んでいた。映画の内容その他は忘れないうちに『青春大全集』に書いておこう。

 今夜のNECOはその蔵原監督の『夜明けのうた』 『憎いあんちくしょう』 の亜流っぽい感じもしなくはないが、面白かった。ルリ子しゃんの役はミュージカルスター。音楽家の岡田真澄と不倫中。ストーリーの中心は失明の運命が待っている松原智恵子とその恋人・浜田光夫との交流。

 スターとはいえ不倫の関係の岡田真澄との関係にどこか焦燥感や孤独感を感じている風の描写も良い。一人で車を飛ばしたり、付き人に金品を持ち出されたり、マンションの一室でボーっとしているシーンが象徴していた。

 この頃のルリ子しゃんは25歳くらい。美しいねぇ。松原智恵子も良い。この頃20歳くらいか。メンコイ〜!! 絶対モテただろう(って当然!) ルリ子しゃんは松原&浜田を励まし、岡田真澄と別れ夜中に帰宅。若い二人との交流で気持ちの整理がついたのか、部屋の掃除を始める。そして夜明け前に出演を嫌がっていた『夜明けのうた』の脚本を読む。作者の小松方正に電話。出演を快諾する。窓を開けると夜明けの太陽が上がっている。

 蔵原監督作品の登場人物って、今の自分への不満や不安感を抱えている人間が多い。『狂熱の季節』 や『黒い太陽』 の川地民夫。『硝子のジョニー 野獣のように見えて』 の宍戸錠&アイ・ジョージ。『憎いあんちくしょう』 の裕次郎。そして今夜のルリ子しゃん。オイラも今の自分の行く末に不安があるから気持ちは分かる。

来週も蔵原監督作品が放送。宍戸錠主演の『海の勝負師』 これまた楽しみな作品。

 

 

 

★ 12月1日、今夜のNECOは蔵原惟繕監督作品『海の勝負師』 誉める評論家とかいるけれど、『メキシコ無宿』 同様にダラダラした感じの作品。

 それでも錠と加藤武の姿に名作『硝子のジョニー 野獣のように見えて』 の錠とアイ・ジョージのプロトタイプを見る事が出来る。錠は仲間を見殺しにした疑いをかけられた過去を持つ。加藤武は腕の良い潜水夫だったが酒で身を持ち崩してしまう。今ではアル中でまともに潜ることも出来ない。そんな二人が潜る事で自己を取り戻すという日活アクション不変のテーマが語られる。
 まぁこんなのは全て後付け。評論家がご都合主義的に設定しただけ。実際は書いているときにそんな事まで考えてやっていたのかは疑問だ(笑)