第34話 悪魔の街・歌舞伎町

歌舞伎町東映(現・新宿トーア)

 

新宿歌舞伎町。日本がアジアに誇る?エキサイティングタウンだ。そこに生息している人数分の打算と欲望と陰謀が入り混じっている。やくざやチャイニーズマフィアの抗争やぼったくりバーで殺された奴も多い。最近では雑居ビル火災でキャバクラ嬢やその客が亡くなってしまった。そう考えると悪魔の街だよナ。それでもこの町は華やかで魅力的だ。青春野郎でも何度か登場したけれど、この町には思い出が多い(悪い記憶ばかりだけどネ)。良いか悪いかと問われれば、今回紹介する歌舞伎町東映は良い思い出に入るかな。場所はスカラ座前の広場の一角のビルのB1F。現在は新宿トーアという名前に変わっている。内装も変わったのかな?いつ頃名前が変わったのかも知りません。

 

 

ここに来たのは1981年。この時、毎週金曜の夜に日活映画のオールナイト上映があった。この時通って観たのは下記の通り。(全て81年)

8月 7日(金)

光る海、若い人、愛と死をみつめて、斜陽のおもかげ

8月14日(金)

マカオの竜、夜霧も今夜も有難う、錆びたペンダント、七人の野獣

8月28日(金)

人生とんぼ返り、幕末太陽伝、警察日記、神坂四郎の犯罪

9月11日(金)

怪談・昇り竜、太陽が大好き、あいつとの冒険、盛り場仁義

10月 9日(金)

帰ってきた狼、黒い太陽                     

10月16日(金)

乳母車あじさいの唄、ゆがんだ月、やくざの詩

 

館内の記憶もほとんど無いし、東映系の映画館でどうして日活のオールナイト上映をしたのかも分かりません。8月7日のは吉永小百合特集。14日はアクション映画特集なのか?『マカオの竜』は65年製作の小林旭主演の白黒のアクション映画。相手役は十朱幸代。28日は森繁久弥&フランキー堺特集か?『人生とんぼ返り』は55年製作、森繁主演の作品。ストーリー等、記憶にないが殺陣師・段平の話しだと思った。11日は梶芽衣子(太田雅子)特集。『太陽・・・』は66年の白黒作品で浜田光夫が相手役。『あいつとの・・・』は65年白黒、太田博之が相手役。梶の役は女子高校生だったと思う。9日は青春映画特集だったのか?『帰ってきた・・・』は65年白黒の湘南青春映画。たしか不良少年の山内賢とブルジョワ令嬢のジュディ・オングの物語。『黒い太陽』は64年白黒の川地民夫とチコ・ローランドの奇妙なコンビの映画。ラストのチコ・ローランドがアドバルーンにぶら下がって消えていくラストシーンは印象に残る。『帰ってきた狼』と『黒い太陽』はどちらも破滅型青春映画の佳作。今挙げた作品はどれも再見の機会がないので記憶が殆んど無いのだ。機会があればもう一度観たいヨ。9日の上映は2本しか書いていないが4本立てだったと思う。他にもう2本観ている筈、当時の手帳にはこれしか書いていなかった。
 オールナイトは本当にツライ。睡魔との戦いになって作品に集中出来ないのが難点ダ。作品の記憶は無いが明け方に上映が終わり新宿駅へ歩いている時、一度だけコマ劇場前で客引きに引っかかったのだけ憶えている。今から思えば朝5時近いのにまだ客引きをしているのは変なのだが、たしか女に袖を引っ張られるように勧誘を受けたのだ。オイラは眠いし金も無いし何より怖いので「帰るんだよぉ!」と叫ぶようにして振り切ったのは憶えている。でもあの時の女は何だか男だった気がするんだヨ。ニューハーフって奴か?それとも女装者か?あの頃からそういうのに縁があったのかもネ!嫌だナァ。

 

 

 

歌舞伎町東映(新宿トーア)データ
住所・東京都新宿区歌舞伎町1−2−1

TEL・03−3209−3030
座席数・330