第31話 数学出来んが何で悪いとや!!
サイエンスホール(九段下)

 

 

サイエンスホールは日本武道館となりにある科学技術館の地下2階にある客席数410のイベントホールである。
1978年の夏頃
『高校大パニック』脚本・神波史郎 監督・澤田幸弘、石井聡互 出演・山本茂、浅野温子、青木義郎、赤座美代子)
1980年8月13日(水)
『鉄騎兵、跳んだ』原作・佐々木譲 脚本・佐治乾、田中昌子 監督・小澤啓一 出演・石田純一 熊谷美由紀 竹田かほり 田中淳・他)
の試写会に行っている。

 

日活映画といっても両作品とも71年以降に製作されたものだが、個人的に好きな作品だしオイラにとって良い思い出になっているのであえて取り上げました。『高校大パニック』は当時としては驚きの作品だった。生徒が教師を射殺というのはショッキングな内容だったし、公開前に石井聡互監督が雑誌やTVに出て映画の宣伝をしていたりとポルノ時代の日活にしては随分力を入れていたと思う。オイラ的には監督が澤田幸弘だし、日活久々の一般映画ということで結構期待したヨ。一応アクション物でもあるしネ(笑)。当時、定期購読していた雑誌『ぴあ』の試写会のページで見て応募、応募者はそれほどいなかったのか?数日後に入場許可のハガキが送られて来ました。この時はたしか夏休み中だったと思う。夜、何時からの上映だったのかはもう記憶がない。試写会の常として上映前に出演者やスタッフの舞台挨拶があった。出演者は誰が来ていたのか良く憶えていないけど、『高校・・・』の時は石井聡互や澤田幸弘の他、当時10代だった浅野温子もいたような気がする。『高校・・・』で特筆するのは我らが青木義郎アニキである。警官隊を指揮する刑事役で立てこもった山本茂の持ち物を調べるシーンが印象的だ。この時、義郎アニキは持参したナイフでカバンや弁当の中身までナイフの刃先でグチャグチャになるまで物色するのだ。そして「(犯人は)社会の敵ですよ。」とのたまう。やっぱりアニキはスゴイよ。人質になる女生徒が浅野温子なのだがクールビューティという感じ、真夏のクソ暑い日という設定だったので浅野温子の額に玉のような汗の粒があったのを憶えている。
 『鉄騎兵、跳んだ』も好きな作品。主役の石田純一(新人!)はモトクロスライダー。昼間は町工場で働き、バイク屋の川地民夫が監督をしているモトクロスチームに所属している。一時はメーカーから援助を受けるなど将来有望な選手だったが、レース中に若手ホープのライダー(名前忘れた)とデッドヒートの末、事故を起こし再起不能の重傷を負ってしまう。メーカーからの援助も打ち切られた石田だが、恋人の松田(当時は熊谷)美由紀や川地民夫の励ましでカムバックを目指す。そして「負けたら引退」と川地に宣言して復帰戦のレースに挑む。レースには事故ったときのライバルのホープ野郎も出ていて、クライマックスはそいつとの競り合い。たしかゴール直前で同時にジャンプするが僅差で負けて2位でゴール。負けたけど完全燃焼した清清しい姿は勝者のようだった、という雰囲気で終わると思ったナ。印象に残っているのはレース前、プロテクターを付けて完全武装した石田に熊谷が「カッコイイよ。私の鉄騎兵。」と言って送り出すシーン、当時ちょっとホロッときました。竹田かほりが石田の先輩ライダーの彼女でホンダの受け付け嬢の役で出ていた。この時は竹田かほりにメロメロだったけど、数年後にTVでこの映画を見直したら、竹田の役はいわゆる都会のイイ女って感じで良くなかったナ。この作品に関しては熊谷の方がイイ女だヨ。試写会で観たときは面白いと思ったのだが、TVで再見したら川地の出番も少ないし展開が平板でイマイチ盛り上がりに欠けていた。印象って変わるもんだ、と思った。でも負け犬人生のオイラはこういう敗者復活のドラマってのに弱いんだ。結構感情移入しちゃうんだよネ、ブハハ。ラストはレースが終わり、誰もいなくなったモトクロスコースをトロトロとバイクで走る石田。その先には熊谷が立っている。石田はバイクのケツに熊谷を乗せて夕陽をバックに去って行く、というような感じだったと思う。これに松田優作の歌う主題歌『戦い続ける男たちへ』が被ってエンド。(もう20年くらい観ていないので曖昧な記憶しか無い。違ってたらゴメン。)状況は全然違うけど、機械馬(バイク)に乗って去って行く石田の姿にちょっと渡り鳥をイメージしてしまった憶えがありマス。この『鉄騎兵・・・』の試写会のときは石田純一の他、小沢啓一監督も来て舞台挨拶していた。この辺のことは全く記憶が無い。あるのは竹田かほりも来ていた事だけ(笑)。そうそう封切り当時『鉄騎兵・・・』の同時上映だったのが元祖大四畳半大物語』(監督・曾根中生、松本零士 脚本・熊谷禄朗、曾根中生 出演・篠ひろ子、前川清、山口洋司、若宮大祐)だった。ご存知、松本零士原作の映画化である。この映画は別に申し込んでいないのに、何故か『鉄騎兵・・・』とは別に試写会の入場券が送られてきました。何故、申し込んでもいない映画の試写会のチケットが送られてきたのだろう?よっぽど申し込みが無かったのかな?『元祖・・・』の試写会は8月7日(木)に観ている。場所は新橋のヤクルトホールだったと思う。そんな訳でこの頃は試写会ラッシュだった(笑)。この年の手帳を見ると夏休みは映画三昧。浅草新劇場文芸座地下五反田東映シネマにも行っている。その合間をぬって?TVK千葉テレビテレビ埼玉の放送も観ているから映画に関しては結構忙しかった。でも友達とかいなかったから休み中は誰とも会っていないし、家族以外と会話していない・・・スゴイでしょ(アホか。)。
 夏の夜に設備の整ったホールで出演者やスタッフと同じ時間が過ごせた。このサイエンスホールでの試写会は当時、センズリ臭いオタク高校生だったオイラにとって良い思い出である。

 

 

サイエンスホールデータ
アクセスその他、科学技術館HP参照